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アマゾンのベゾスCEO、不倫脅迫騒動があぶり出す「デジタル時代の危うさ」

2/14(木) 7:30配信

ITmedia ビジネスオンライン

 2月8日、米ネット通販大手Amazon.com(アマゾン)の創業者であるジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が、ブログサイト「Medium」に署名記事を掲載し、こんなふうに訴えた。

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 「昨日、私にただならぬことが起きた。いや、私にしてみれば、異常なことというよりは、初めてのことだった。拒否できない提案を受けたのである。というより、少なくとも(米タブロイド紙の)ナショナル・エンクワイアラー紙の幹部らはそう考えた。彼らがそう思ったおかげで、私は全てを書いておこうと思うことができた。恐喝や脅迫に屈するよりも、彼らが私に送ってきたものを掲載する決心をした」

 「恐喝」「脅迫」など穏やかではない言葉が並ぶこの記事はメディアで大きく取り上げられ、米国をはじめとして大騒動に発展している。ただこの文章だけを見ると、ベゾスが何か「犯罪臭」のする提案をされた被害者になっているかのような書きっぷりだが、事はそう単純なものではない。

 実は、この記事はベゾスの離婚騒動と、その背後にちらつく不倫問題に端を発する。資産総額1600億ドル(約18兆円)を誇る世界で最も裕福な人物に、いったい何が起きたのか。詳しく見ていくと、インターネットやデジタルデバイスの発展によって大金持ちに成り上がったベゾスが、そのデジタル社会に足をすくわれたという構図であることが分かる。また同時に、全てがデジタル化されてつながっていく時代に生きる危うさもあらわにしていると言える。

 そしてこのケースは、億万長者ではなくとも、ビジネスパーソンには人ごととは言えないイシューでもある。

「離婚」「不倫」「脅迫」騒動のいきさつ

 ベゾスが離婚を公式に発表したのは1月9日のことだった。ベゾスと妻のマッケンジーが連名で、25年の結婚に終止符を打つとTwitterで発表した。

 当初、メディアでは、離婚が成立することによって、アマゾン創業以来、夫のベゾスを支えてきたマッケンジーが、どれほど財産分与されるのかが大きな話題になっていた。夫婦が暮らしたワシントン州の法律にのっとり、ベゾスの資産の半分が彼女に渡るという報道もあった。そうなれば、800億ドルほどを受け取ることになるマッケンジーが一気に世界で最も裕福な女性になると騒がれていた。

 だがその裏では、ある疑惑がうごめいていたのである。ベゾスの不倫疑惑だ。

 離婚報道の後すぐに、米タブロイドのナショナル・エンクワイアラー紙が、ベゾスの不倫疑惑を報じた。

 不倫相手は、『グッドデイLA』という番組の元司会者の1人であるローレン・サンチェスという女性。ベゾスとはダブル不倫だった。しかも、実は離婚発表をする2日前にベゾスは同紙からの取材によって不倫疑惑が掲載されることを知り、直ちに夫婦で離婚を発表した。そのタイミングからも、ベゾスは不倫の記事が出るより先に、自分から離婚を公表しようとしたことがうかがえる。要は、不倫がバレそうだから離婚を発表したということらしい。

 不倫疑惑の記事には、ベゾスとサンチェスの密会写真が11ページにもわたり数多く掲載された。同紙は4カ月にわたって極秘取材を続けてきたと語っており、ベゾスが6500万ドルのプライベートジェットに不倫相手を乗せて米国各地を観光したり、ベゾスの個人所有の自宅などで密会したりしていた様子も捉えている。14日間で少なくとも6回もデートしていた。同紙は数々の密会現場の写真を押さえており、ネットでも次々と掲載した。

 極め付きは、ベゾスがこの愛人に送ったとされるメールが流出したことだ。これまでスキャンダルのにおいすらなかった清廉潔白なベゾスが送った実物メールは、そのあまりの「甘いメッセージ」にこちらが恥ずかしくなるほどである。

 例えば、「愛してるよ、元気な君。私の体と唇、目で、いかに君を愛しているか、もうすぐ見せてあげるよ」「君の匂いを嗅ぎたい。君を吸い込みたい。きつく抱きしめたい……唇にキスをしたい。愛している。恋に落ちたんだよ」というメッセージ。さらに2018年6月1日には、自分のセルフィーとともに、こんなメッセージを送っている。「私が何を欲しているか分かるかい? 今夜は君とちょっと酒を飲みたい。酔っぱらうほどじゃなく、少しね。一緒に話をして計画を立てたい。話を聞いて、笑って……ただ一緒にいたい!!! それで一緒に寝て、明日起きて、一緒に新聞を読んで、コーヒーを飲みたいんだ」

 まさに、とろけるようなメッセージ……というより、恋に落ちて周りが何も見えなくなった生真面目な少年のようだが、世界的企業を一代でつくり上げた経営者の、無防備で人間らしい素顔を見たようでほほえましくもある。とはいえ、一応確認しておくが、ベゾスは1月12日に55歳になった、世界経済にも多大なる影響を及ぼすほどの億万長者である。

 これらの報道を受け、ベゾスは個人的に調査チームを組み、どうしてこれらのプライベートなメッセージが流出したのか調査を開始すると発表。すると、その報道に不快感を持ったナショナル・エンクワイアラー紙側は、ベゾスにアプローチし、実はベゾスが自分の「股間」をセルフィーして不倫相手に送った写真も持っていると伝えてきたという。しかも、その写真などを報じられたくなければ、調査をやめろと脅してきたのだ、と。

 その要求を知ったベゾスは、同紙から脅迫されたと主張。大々的に冒頭で紹介した記事を掲載したのだった。これが事の顛末(てんまつ)である。

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