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「鉄道廃止」乗り越え、震災から8年 岩手のJRローカル線が三陸鉄道として再出発のワケ

2/16(土) 14:10配信

乗りものニュース

敷き直された線路、新しい駅舎や橋

乗りものニュース

 東日本大震災で被災した岩手のローカル線が2019年3月、8年ぶりに運転を再開します。

【写真】ついに復活する列車・駅・車窓!

 三陸海岸沿いを行く、JR東日本 山田線の宮古~釜石間。再開に向けた試運転列車が2月11日(月・祝)、報道陣に公開されました。

 このたび取材した試運転列車は午前9時40分ごろ、宮古駅(岩手県宮古市)を発車。先頭からは、復旧工事で敷き直された線路や、新たに整備された駅舎、ホームなどがよく見えます。宮古駅を出発した直後に通った第34閉伊川橋りょうは、津波で橋桁が流失して橋脚も一部損傷。橋脚を修復したうえで、新しい橋桁に架け替えられました。

 車窓には田畑が広がっていますが、津波に襲われた場所では空き地が目立ち、そのなかに新しい民家がポツポツと建っています。震災から8年が経過したものの、復興は依然として「道半ば」に見えました。

 このJR山田線の試運転列車に使われた車両は、JRのものではなく、三陸鉄道の36-700形ディーゼルカーです。運転も、三陸鉄道の社員が行っています。

 三陸鉄道は、北リアス線(宮古~久慈)と南リアス線(盛~釜石)という、JR山田線に接続する2路線を運営している第三セクターの鉄道会社です。

 実はここに、JR山田線の宮古~釜石間が、震災による不通から復旧までに8年かかった事情が隠されています。

「鉄道廃止」の可能性も 震災以外にもある課題

 山田線は、岩手県内の盛岡~宮古~釜石間157.5kmを結ぶ、JR東日本のローカル線です。そのうち太平洋に面した三陸海岸沿いの宮古~釜石間55.4kmは、2011(平成23)年3月に発生した東日本大震災で、特に大きな被害が発生。その約4割(22.7km)が津波で浸水し、線路の約1割と4つの駅、橋りょうや盛り土など16か所が流失しました。

 この復旧にあたり、JR東日本は鉄道ではなく、バスへの転換を模索します。

 その理由は、おもにふたつ。ひとつは被害が非常に大きく、復旧に膨大な費用がかかること。復旧費は総額で210億円と試算されました。国や自治体が復旧のための補助金を出す制度はあるものの、当時の補助制度では、JR東日本のような黒字経営の鉄道事業者は、補助金を受けることができませんでした。

 もうひとつは利用者数です。山田線は震災前から沿線の過疎化と道路の整備により、利用者が減少し続けていました。1日1km平均の利用者数(輸送密度)で見た場合、宮古~釜石間はJR東日本が発足した1987(昭和62)年度は1719人でしたが、震災前の2009(平成21)年度は713人。およそ20年で6割も減っています。仮に膨大な費用をかけて復旧したとしても、利用者が減り続ければ運賃収入も減るわけで、いずれ路線を維持するのが難しくなります。

 そこでJR東日本は、鉄道より低コストな交通機関の導入を検討。線路敷地をバス専用道として整備し直し、そこにバスを走らせる方式(バス高速輸送システム=BRT)への転換を沿線自治体に提案しました。実際に震災で大きな被害のあったJR東日本の路線のうち、宮城の気仙沼線と、宮城・岩手の大船渡線で、一部の区間がBRT化されています。

 しかし、山田線の沿線自治体は鉄道より遅く所要時間が長くなるなどとして、強く反発。協議は難航しました。そこでJR東日本は2014(平成26)年、BRT案に代わって三陸鉄道への移管案を示します。

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