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ブリ養殖日本一の鹿児島でなぜ? 若手漁師がサバ養殖に挑むワケ

2/18(月) 11:32配信

みなと新聞

生産軌道も競争は激化

 稚魚から成魚への歩留まりは8~9割。増肉係数は2~3(1キロ太らせるのに2~3キロの餌が必要)。数値は養殖ブリとほとんど変わらない。ただブリは出荷時の網揚げ作業に10人を要するが、サバは3~4人でできる。「手間がかからず経営効率は良い」(濱社長)

 完成したサバはオリジナルブランド「むじょかさば」として販促。「むじょか」は鹿児島の方言で「かわいい」という意味。手塩をかけて育てたというメッセージを込めた。直近の出荷価格はキロ1500円前後(500グラム前後サイズ)。鮮魚用として周年販売している。

 東町漁協にブリの共販制度(漁協が集荷、販売、代金回収までを行う制度)はあるが、サバはない。このため生産者は自ら県内外に出て販路開拓を行う。「これまでは養殖ブリを漁協に出荷するだけでよかったが、サバは自ら売らないといけない。そこが仕事上で最も難しく、最も面白い部分」と濱社長。現在は全国の回転寿司店、市場などを販路としている。

 取り組みは軌道に乗っているが、今後を楽観視することはできない。経営効率の高さからサバ養殖は全国で拡大。本紙集計によると、少なくとも現在100万尾以上が生産されている。県別ブランドも次々と登場。福井県小浜市の「よっぱらいサバ」、鳥取県岩美町の「お嬢サバ」、佐賀県唐津市の「唐津Qサバ」…。生産面でそれぞれが特色を持っており、サバ養殖は群雄割拠の時代を迎えている。

 競争激化でむじょかさばの生産量は当面現状を維持する方針。今後は加工品の開発、輸出などに取り組み、他社との差別化に力を入れる。

 かつて養殖業者は相場が上がれば生産量を増やし、結果的には相場下落を招いて自らの首を絞めた。同じ轍(てつ)を踏まないよう、今こそ生産者の腕が試されている。

[みなと新聞2019年2月15日付の記事を再構成]

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最終更新:2/18(月) 11:53
みなと新聞

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