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著名人ががんを公表する度に起きる騒ぎ がん経験者としてお願いしたいこと

2/19(火) 17:07配信

BuzzFeed Japan

今回、この原稿の依頼をいただいた際に、お受けすべきか悩みました。仮に、白血病であることを公表された競泳選手の池江璃花子さんに関して記すならば、「これからも温かく見守っていただけると嬉しいです」とのご本人のコメントが全てです。

タレントの堀ちえみさんも舌がんであることを公表しました。

池江さんや堀さんの回復を願い「温かく見守ること」が私たちにできることであり、これ以上記すことはありませんし、記すべきでもないでしょう。

しかし、「著名人ががんを公表するたびに、同じことが繰り返されているので原稿を書いてほしい」との依頼に、個々のがん患者が何を思い、何を望んでいるのかということについてはお伝えしなければならないかもしれないと考えました。

以下の原稿は、27歳で血液がん(悪性リンパ腫)を発症し、自身の経験をもとにがん患者団体に関わってきた立場から考えたことです。
【寄稿:天野慎介・一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長】

がんと告げられたら、誰でも受けるショックと気分の波

私ががんに罹患したおよそ20年前と比べるとがん治療は進歩し、より多くのがん患者に治癒が期待できるようになってきました。

しかし、20年前とあまり変わらないと感じるのは、がんと新たに告知された際の患者の「心」です。「AYA(Adolescent and Young Adult)世代」とよばれる10代から30代の思春期・若年成人のがん患者を対象とした調査(※1)をご紹介します。

「相談したかった悩み」として「診断・治療のこと」「後遺症・合併症のこと」といった治療に関する悩みに加えて、「経済的なこと」「今後の自分の将来のこと」「仕事のこと」「家族の将来のこと」「生き方・死に方」「自分らしさ」「セックスのこと」「恋愛のこと」「結婚のこと」「学業のこと」といった多くの項目が並びます。

世代や環境が異なれば、当然悩みは変わるでしょうし、個人個人で異なる悩みがあるでしょう。がん患者はときに多くの悩みと向き合いながら、様々な意思決定を行い、がん治療を受けていますし、中には適応障害やうつ状態となる方もいます。

これは決して個々のがん患者が「精神的に弱い」とか「前向きに頑張れば解消される」というものでもなく、人が強いストレスに晒されたときに生じる「人として当然の反応」です。

私ががん告知を受けた際には「頭が真っ白」になりました。病名を告げられる前の病院の風景、医師や看護師のしぐさや表情はよく覚えていますが、告げられた後の記憶はあまりありません。

最初の1週間くらいは「何かの間違いではないのか」「悪い夢でもみているのではないか」などとぐるぐる考えていました。次は「なぜ若い自分が」「生活習慣が悪かったのだろうか」「遺伝的な原因があるのだろうか」などとも考えました。

いよいよ「自分はがんであり、治療を受けなければならないのだ」と受け入れるのに1ヶ月くらいかかりましたが、その後も気分の波が数えきれないくらいありました。

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最終更新:2/19(火) 17:07
BuzzFeed Japan

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