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医師の働き方改革を「絵に描いた餅」にしないために 医師100人に面接してきた産業医がこれだけは言っておきたいこと

2/20(水) 12:27配信

BuzzFeed Japan

医師との産業医面談は何をしているのか?

私は産業医として、健診の結果に関する保健指導、長時間労働に対する面接指導、メンタル不調者への面談対応、ストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導、病気と仕事の両立支援など、一連の面談業務を大学や病院の職員に対して日常的に行っています。

長時間労働の面談の場合、質問紙表を用いた疲労蓄積の評価や、対面で顔色を見て話しながらのメンタルを含む健康の状況確認などを行います。

相手が医師の場合にも同じです。たしかに、医師に対する面談業務は容易ではない時があり、いうことを聞いてくれない医師もいます。産業保健関係の医師会のある会議で、「医師は医師の面接など受けたくないもの」という意見があり、出席者の失笑がもれました。

面接指導の呼び出しに応じてくれない職種は、確かに医師が多いようです。気持ちはわからないわけではありません。忙しい医師であれば、面談よりも別のことを優先したいでしょう。

一人でも多く外来や病棟の患者を診たり、食事や休憩の時間にあてたり、診断書を作成したり原稿を書いたり、私用で銀行に行ったり郵便局に行ったり、際限なくやることがあるはずです。

自分は医師であるというプライドもあります。法律用語ではありますが、「面接指導」を受けるということ自体、抵抗を感じるかもしれません。

加えて、医師全員が労働安全衛生法など労働法規やその趣旨に詳しいわけではありません。産業医との面談で何を言われるのか、小言を言われたり、嫌味でも言われたりするのはたまらないし(実際は全然違いますが)、気が進まなくなってしまうのも無理はありません。

忙しくて疲れている上に、面談でわかりきったことを話すのは無駄なこととイメージされるのでしょう。

医師が医師の面接指導を受けるということ

しかし、逆に、面接指導が楽な時もあります。

最近の出来事ですが、健診で血糖が高い内科医師を呼び出したところ、「忙しくて自分の健康は二の次」と笑って話をしてくれました。そして、「自分も薬を飲んだほうがいいかなと思っていたところだった」、と必要な生活習慣改善と薬物治療を開始してくれたのです。

「医者の不養生」とは古くから言われていることですが、糖尿病の専門家でもない筆者がその病気の専門家でもある医師職員に指導するなど、本当はおかしな図式ではあります。

でも、ちょっとした出来事が適切な行動のきっかけになることも少なくありません。産業医が繰り返し注意喚起すると、タバコをやめたりアルコールを控えて運動を始めたり、健康によい生活習慣をこっそり始めていたりするわけです。

理由は、「産業医にまた言われるから」というのですが、本当は医学に関する基礎知識が背景にあるからではないかと思います。

長時間労働の面接指導では、関係のないグチを聴かされることも頻繁にありますが、筆者も現場で働いた経験がありますから、過重労働の現場の状況と容易に休めない医師の事情は痛いほどわかります。それを遮ったりしないで耳を傾けるせいか、面談の機会を楽しみにして来てくれる「常連」の医師もいました。

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最終更新:2/20(水) 12:27
BuzzFeed Japan

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