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医師の働き方改革を「絵に描いた餅」にしないために 医師100人に面接してきた産業医がこれだけは言っておきたいこと

2/20(水) 12:27配信

BuzzFeed Japan

「健康確保措置」としての面接指導

医師の働き方改革に関する検討会では、「過労死ライン」を超えて長時間労働をする場合の前提として、健康確保措置の義務化が想定されています。

要点は、連続勤務時間の制限、勤務と勤務の間に9時間以上は間を置かせる勤務間インターバル、代償休暇、医師の面接指導です。

これらが実現するのであれば、現在の働き方よりも相当楽になる、と率直な感想を発言した構成員もいました。問題は、実現するかどうか、あるいはそれが適切に機能するかどうか、だと思います。

実現するための障壁としては、地域医療との兼ね合いの問題も大きい要素です。

例えば、今までいつでも連絡して呼び出すことができた医師が、連続勤務時間制限や勤務間インターバルのルール下では、仕事をしてもらえない時間帯が存在することになります。加えて、面接指導後の健康確保措置として、いわゆる、「ドクターストップ」があり得ます。

このように、医師の働かない時間を強制的に作る仕組みをルール化することは、医師の偏在で医師不足の地域ほど、大きな問題になるでしょう。そもそも、医師が「休め」と指示されたところで、代わりに働く医師がいなければ簡単に休めません。

実際、私が行った産業医面談で、ドクターストップの提案にも関わらず、「代わりの医者がいない」と拒否した医師は1人や2人ではありません。適切な就業措置の意見には、交代医師の存在が必須です。

検討会の案では、院内で交代の医師の確保が解決できない場合、都道府県などを中心とした地域で代わりに働く医師を調整する仕組みが想定されています。

医師の需給に関する検討会を見ますと、なかなか医師不足を解決できない都道府県が発生するようです。医師の健康確保の観点から、医師の面接指導を「絵に描いた餅」にしないためには、都道府県の枠を超えて調整する仕組みが求められるのは必然と思われます。

大学は医師不足の救世主か

ちなみに、医師不足の解決の切り札として、大学に安易に期待してはいけません。

一般に、医師の派遣には地域の大学病院が一定の役割を果たしています。一般病院の院長が大学の医局に日参して医師を派遣してもらう、とは今でもよく聞く話です。

しかし、医師の働き方改革が始まれば、大学も背に腹は変えられない事情が出てくると思います。労働時間制限によって、大学病院に勤務する個々の医師の総労働量の低下は免れません。低下分を数で補うとすれば、当然、大学からの医師の派遣は今よりも難しくなります。

加えて、例えば、日曜の日勤帯から翌朝までに連続勤務した場合、勤務間インターバルを置くために月曜は休まなくてはいけません。労働基準法によれば、副業や兼業は勤務時間として通算されます。

医師の働き方改革を契機にこのルールが厳格化されれば、医師のそのような派遣は制限せざるを得ません。夜間や土日の診療を大学の派遣医師に依存するような医療機関では、対策が急務になります。

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最終更新:2/20(水) 12:27
BuzzFeed Japan

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