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大迫傑はなぜ東京マラソンに参戦するのか? その理由を考察する

2/28(木) 19:02配信

VICTORY

日本の男子マラソンが<加速>している。そのメインステージとなっているのが東京マラソンだ。昨年は設楽悠太(Honda)が14年ぶりに日本記録を更新する2時間6分11秒をマーク。井上大仁(MHPS)も2時間6分台で続くと、同一レースでは過去最多となる日本人9名がサブテン(2時間10分切り)を達成した。そして3月3日の第13回大会には、昨年10月のシカゴマラソンで設楽のタイムを塗り替えた日本記録保持者・大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が参戦する。

大迫のコメントから読み解くマラソンへの姿勢

15年7月に5000mで13分08秒40の日本記録を樹立した大迫は、16年の日本選手権で5000m・1万mの2冠を達成。<日本長距離界のエース>と呼ばれる存在になった。マラソン挑戦後は、レースを走る度にタイムを短縮している。

初マラソンとなった17年4月のボストンは2時間10分28秒、同12月の福岡国際は日本歴代5位(当時)となる2時間7分19秒。昨年10月のシカゴでは、日本人で初めて2時間6分台の壁を越えて、2時間5分50秒を叩き出した。3レースはいずれも3位でフィニッシュしている。

初戦のボストンは、「トップ集団のなかでマラソンを経験したかったんです。高速レースにつくのは難しいので、速すぎないレースを探していました」と明かす。そして、「僕のなかでは、まだ2時間10分までしかイメージできていません。自分の走ったところまでだけです」と次のレースに向けては慎重な姿勢だった。

2戦目に福岡国際を選んだのは、「東京もいいかなと思っていたんですけど、今の僕にはペースが速すぎる。優勝争いをしたかったので」という理由だった。29kmで先頭集団に残った日本人ランナーはひとりだけ。大迫はペースメーカーがいなくなった30kmからの5kmを14分55秒とスピードアップして、当時の現役日本人最高記録をものにした。

3戦目のシカゴもレース展開を考えての選択だった。3週間前のベルリンマラソンには、中村匠吾(富士通)、佐藤悠基(日清食品グループ)ら有力選手が出場したものの、日本勢は先頭集団についていくことができない。超ハイペースで進んだレースは、エリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間1分39秒という驚異的な世界記録を打ち立てている。「ベルリンはちょっとペースが速すぎるので、身の丈にあったレースを選ぶことが大切だと思っています」と大迫のチョイスは絶妙だった。

シカゴの30km通過は1時間29分43秒。福岡より25秒速かったが、大迫は30kmからの5kmを14分31秒まで引き上げて、次の5kmも14分42秒でカバーする。5000m・1万mで五輪2大会連続の2冠に輝いたモハメド・ファラー(英国)のスピードには対応できなかったものの、欧州新となる2時間5分11でトップを飾ったファラーから遅れること39秒。大迫は日本新でゴールに飛び込んだ。
「もちろん日本記録や1億円はうれしいですよ。でも大事なのは勝負に絡むこと。その距離が前回よりちょっと伸びたのは次につながると思います」

これまで大迫を取材してきて感じているのは、彼は<自然体>でマラソンに出場していることだ。「タイム」は気象条件、レース展開など、自分では制御できない要素で大きく変わってくる。それよりも、「勝負」に徹することで、余計な感情を排除して、結果を残してきた。
「僕は出場する大会でしっかりと優勝争いができる選手になりたいんです。オリンピックや世界選手権、それからワールドメジャーズで結果を残そうと思ったら、そういう力をつけていかないといけません。タイムは後からついてくると思っています」

キャリア4戦目となるレースの舞台は東京だ。昨年7月のイベント時には、シカゴの次は東京に出場したい意向を示しており、今回は<プラン通り>の参戦ということになる。
「MGC(マラソングラウンドチャンピオンシップ)や東京五輪を意識してということは特にありません。僕が走りたいというのが一番の理由です。東京は僕の出身地ですし、特別な場所。そこを走ることで、モチベーションをキープできますし、東京で活躍できたらいいなという思いがすごくあります」

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最終更新:2/28(木) 19:02
VICTORY

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