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”18歳になったら原則退所”児童養護施設の出身者が語る厳しい現実

2/28(木) 10:50配信

AbemaTIMES

 25日、東京・渋谷区の児童養護施設「若草寮」で、施設長の大森信也さん(46)が胸や腹などを刃物で刺され、搬送先の病院で亡くなった。殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されたのは、住所・職業不定の田原仁容疑者(22)。「若草寮」の元入所者だった。

 児童養護施設とは、虐待や貧困など、様々な事情で家族と暮らせなくなった子どもたちを養育する施設で、現在全国に約600か所、約2万5千人が生活している。しかし対象とされているのは原則18歳までのため、高校卒業後は退所を余儀なくされるケースがほとんどだ。田原容疑者も「若草寮」で3年間過ごし、18歳で退所、就職したという。しかし仕事が長続きすることはなく、職場を転々。大家とも家賃滞納によるトラブルを抱え、去年9月に退去させられた。それから事件発生までの間、ネットカフェなどで寝泊まりを続けていたという。

 田原容疑者は取り調べに対し「施設に恨みがあった。施設の関係者であれば誰でもよかった」と供述しているというが、「若草寮」の施設理事長は「自立支援のために、アフターケアという形でどの子にも一生懸命やっている。私の知る限りでは、彼(田原容疑者)は大森さんに感謝している立場だったと思う」とコメント。大森さんも著書に「18歳以降、社会的養護の枠から外れ、自立していかなければいけない現実。それは私たちが想像する以上に困難なものであると改めて認識し直す必要がある。この問題を子どもたちの自己責任論で終わらせない」という言葉を綴っており、近所の人も「面倒見が良かった。優しく接してくれたり。(施設とのトラブルは)全然ない。みんないい人ばかりで子どもたちも礼儀正しい」と話している。

 26日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、18歳で自立を迫られる養護施設の子どもたちが直面する問題について、元入所者に話を聞いた。

 東京の養護施設で育った田中れいかさんは、モデル業のかたわら、NPO法人「プラネットカナール」広報として自身の経験を講演するなどの活動もしている。

 7歳の時、父親による家庭内暴力の危険から逃れるため、4歳年上の姉と2人で児童養護施設に入所した。施設で暮らす子どもたちは、やはり虐待を受けて心に傷を負っているケースが多かったという。

 「いわゆる学生寮みたいな感覚で、起床時間や門限が決まっていたり。私の入っていた施設は定員が50人で、マンションのような建物で部屋が4つに分かれていて、10人ずつで暮らしているようなイメージ。最近では“家庭的養護“といって、一軒家に少人数で暮らすという形式の施設も増えている」。

 現在、高卒者全体の進路は「就職」が18.3%、「進学」が70.8%となっているが、児童養護施設退所者の場合、「就職」が63.3%、「進学」が30.1%となっている。理由の多くが、経済的な問題だ。田中さんの場合、児童養護施設入所者を対象にした、返済の必要のない「給付型」の奨学金を得ることができ、都内の短大に進学。それでも生活は苦しく、家賃、食費、光熱費・携帯料金などの生活費を稼ぐためアルバイトを掛け持ちし、授業が終わると深夜まで働き続ける日々を送った。当然、遊ぶ時間はほとんどなく、孤独感にも苛まれた。

 「勉強して、働いて、“自分だけが苦労しちゃっている“という思いを抱えてしまった。18歳で自分を律し、心のバランスをとるというのは難しかった。もともと自分の感情を上手に伝えられないまま育ったので、唯一気持ちを吐き出せたのは、ノートに日記を綴ることだった。同じ経験をした人と繋がることのできる場や、自分が困った時に相談できる場があることを知れたら、もっと楽だったかなと思う」。

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最終更新:2/28(木) 12:45
AbemaTIMES

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