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極右と過ごした1週間、そこから見えたものは? 英

3/2(土) 10:03配信

The Telegraph

【記者:Alice Levine】
「私はそういう人を見下すような態度はしない。健全で、幸せな結婚生活を送っているし、子どももいる。あなたとは違う。私に説教するな。正直言って、その態度は少し不快に感じる。そっちこそ過激主義者だ」

 道端で誰かにこんな風に言われたらかなり不愉快だが、それを言われた時、私は彼の自宅の居間に立っていた。彼とは英国の極右活動家ジャック・セン(Jack Sen)氏で、私の1週間にわたるセン氏との生活はまもなく終わろうとしていた。

 何が人々を過激主義に駆り立てるのかを理解するため、私はイングランドのサウスポート(Southport)にあるセン氏の自宅で、セン氏とその家族と1週間を過ごすことにした。この様子はチャンネル4(Channel 4)が撮影し、セン氏が何を考えて行動しているのかを探るドキュメンタリー「Sleeping With The Far Right(極右と過ごす)」となった。

 セン氏との生活は、想像していたのとは全く異なっていた。討論したり、議論したりするものの、(もちろん)意見が合わないだろうと思っていた。だが、実際には非常に困惑させられる1週間だった。

 セン氏は2015年、ツイッター(Twitter)に反ユダヤ主義的な投稿をして、英独立党(UKIP)から除名処分を受けた。その後、英国民党(BNP)に入党したものの、すぐに再び除名処分となった。現在は、インターネットやラジオの他、BNPの元党首や白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan、KKK)の元メンバーなど他の著名極右活動家との活動を通じて、自身の思想拡大に務めている。

 だが、セン氏は、極右主義者と聞いて人々が想像するような人物ではない。セン氏はインド系で、元々はディリプ・セングプタ(Dilip Sengupta)という名前だった。幼少期の大部分を米国で過ごし、セン氏によると、インド系であることから偏見にさらされ、ユダヤ人が大多数を占める地区の学校に通っていたため、非ユダヤ人として差別も受けたという。

 セン氏の物語をつなぎ合わせると、自分がひどく不利な立場に置かれているのは、何か大きな力が働いているためだという、共通のテーマが浮かび上がってくる。

 セン氏の思想は嫌悪すべきものだが、私たちはいきなりそれを切り捨てることはしなかった。セン氏に警戒されないよう、銃を乱射するように反論をまくしたてることはしないことにした。それに、優等生ぶった変なこだわりから、客として滞在しているのだから行儀良くしなくてはと気を使ってしまった部分もあった。セン氏は来る日も来る日も、口をはさむのが難しいような冗長な独白を聞かせたが、私は言いたいことをこらえて黙っていた。

 私たちは二人とも、よくわかっていた。これはセン氏をいら立たせることで、一児の父で、インド系の名前を持ち、ウクライナ人の妻を持ち、黒人、移民、ユダヤ人、フェミニスト、同性愛者などに燃えるような憎悪を抱くセン氏の心理を探る絶好の機会なのだ。

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最終更新:3/2(土) 10:03
The Telegraph

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