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ボカロ曲に登場する「僕」率はどれくらい? ハチなど人気ボカロPの一人称も調査

3/3(日) 20:00配信

エキサイトミュージック

音楽を数字で見ていく本連載、今回のテーマは「ボカロ曲、自分のことを『僕』と言い過ぎではないか」問題をお届けする。

私、僕、アタシ、オレ、ワイなど、日本語には自分の呼び名がたくさんあるが、ボーカロイド曲(以下、ボカロ曲)においては、そのなかでも「僕」が好んでチョイスされることが多い。

詳しい理由は不明で、「わらわ」や「それがし」などに比べればそこまで珍しいわけではないため違和感はないのだが、やはりそのほかの音楽ジャンルに比べて「僕」呼びが目立つなという思いもあり、今回はボカロ曲の自分の呼び名について詳しく見ていきたい。

※なお今回の調査対象は、ニコニコ動画でVOCALOIDタグが付けられた動画の「合計」再生数TOP90曲(2019年2月22日時点)を対象として調査しており、歌詞は初音ミクWikiの曲ページのデータを参照している。

人気ボカロ曲、自分のことをなんて呼んでる?
では早速、人気ボカロ曲の「僕」率を見ていこう。今回調べた人気ボカロ曲のうち、自分のことをなんと呼んでいるかをまとめたものが以下である。

僕系:36曲(僕:25曲、ボク・ぼく:4曲、僕ら・僕等・僕達:7曲)
私系:25曲(私:15曲、わたし・ワタシ・アタシ:10曲)
曲中で自分のことを呼ばない:29曲

結果を見ると、最も多いのはやはり「僕」だが、意外というべきなのか、そこまで圧倒的ではないようだ。むしろ全体としてはバランスよく分散している状態であり、ボカロ曲に「僕」が多いというのは単なる私の偏見だったのでは……という気すらしてくる結果である。

ボカロの歌詞テーマ 人気は「恋愛」と「創作ストーリー」
続いては、少し趣向を変えて「ボカロの歌詞テーマが何なのか」を見てみたい。

元々がネット発の文化のため、かなり変わったテーマが歌われることも多いボカロ曲だが、おおまかに分類すると以下のようになる。

恋愛系:32.6%
創作ストーリー系:24.7%
わからない(解釈が分かれる・意味がない):18.0%
二次元キャラクター系:12.4%
孤独・別れ・成長系:12.4%

最も多いのは恋愛系で、約3割近くにものぼる人気テーマだ。具体的にはトップクラスの人気を誇るボーカロイド・プロデューサー(通称:ボカロP)のDECO*27による「ヒバナ」や、ボカロファン以外にも比較的聞きやすいポップロック・ナンバー「深海少女」などがある。

次に多いのがボカロ曲の特徴とも言える「創作ストーリー系」で、これは小説のように起承転結のあるストーリー仕立ての曲を指している。

具体的な例を挙げると、聴くたびに「どういう生活環境なんだろう」と思わずにはいられない幼い少年と君とのおとぎ話を歌った「六兆年と一夜物語」、明るい曲かと思いきや曲の中盤から突然ホラー化する「こちら、幸福安心委員会です。」などが該当する(なぜか不穏な設定やバッドエンドの話が多い)。

3番目に多かったのが「わからない」系の歌詞である。こちらは、歌詞が難しすぎて人によって解釈が分かれそうな曲、もしくはあまり歌詞に意味がなさそうな曲を分類しており、ストレートに言えば、私個人の読解力の限界を超えていた曲達である。

具体例としては、小林幸子が紅白歌合戦で歌った有名ボカロ曲「千本桜」はここに含んだ。秀逸なメロディーに気が向けられがちなこの曲だが、よく聴いてみると「大胆不敵にハイカラ革命」という出だしのフレーズからすでに解釈が難解を極めており、どこに入れてもしっくり来ないのが見えていたので、甘んじて「わからない」系に分類させていただいている。

そのほか、歌詞に意味がなさそうな曲の代表例は「Nyanyanyanyanyanyanya!」などがある。これはタイトル通り、ひたすら「にゃ」の連呼に始まり「にゃ」の連呼で終わっていくという曲なので、とりあえず「にゃ」が聞きたいとき、もしくはあまり深く物事を考えたくないときに、オススメしたい1曲である。

「二次元キャラ」系は最高速度のボカロ曲「初音ミクの消失」のように初音ミクなどのキャラクターについて歌ったもの、「孤独・別れ・成長」系は伸びやかなメロディーとどう頑張っても読めないタイトルが印象的な別れの名曲「アスノヨゾラ哨戒班」などを含めている(※読み方は”あすのよぞらしょうかいはん”)。

歌詞ごとの「僕率」 多いのは“孤独・別れ・成長系”
ボカロの歌詞テーマを見たところで、改めてテーマごとの歌詞の「僕率」を調査。

結果は、最も「僕率」が高いのは孤独・別れ・成長系だった。逆に言うとそれ以外は「僕率」が過半数を割っており、やはり「ボカロ曲、実はそこまで僕率は高くない」というのが今回の結果となりそうである(実に無念である)。

ちなみに、2番目に「僕率」が高いのは恋愛系だが、これは同じぐらい「私」も多く、男女どちらの目線のラブソングも均等に作られているようだ。対して二次元キャラクター系の歌詞の場合は、圧倒的に「私」が多く、ボカロの多くが女性キャラクターであることに合わせて歌詞が作られているようである。

ハチ、DECO*27、じん(自然の敵P)人気ボカPの呼び名も調査
では最後に、ニコニコ動画で総再生数が多いボカロPの3人がよく使っている呼び名がどれかを見てみよう。

・DECO*27:僕
・じん:僕
・ハチ:私

恋愛系の曲で知られ、最も累計再生数が多いとされるボカロPのDECO*27は「僕」を多用しているようだ。また、小説・アニメ化もされた人気曲「カゲロウデイズ」で知られるじん(自然の敵P)も「僕」を多く使っている。対して、米津玄師として知られるハチは珍しく「私」を使った曲等が多く、それぞれの個性はこういった細部にも表れているようだ。

というわけで、今回の調査はここまで。歌詞のテーマや表現などに少しクセのあるボカロ曲だが、意外と聞きやすい曲もあるので、ぜひこれを機に少しでも聴いてみようと思ってもらえれば幸いである。

■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。

maishilo

最終更新:3/3(日) 20:00
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