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シチズン時計が新中計で異例の減益目標のなぜ?

3/4(月) 9:05配信

日刊工業新聞電子版

工作機械でシェア拡大優先、中国でツガミの背中追う

 シチズン時計は2021年度までの新中期経営計画で、中国、アジア市場の攻略を工作機械事業の重点施策に位置付けた。これまで日米を主戦場としており、新興市場は開拓の余地が大きいと判断した。中計最終年度の同事業の計画は、売上高が18年度予想比6・7%増の800億円、営業利益が同7・1%減の130億円。足元から減益という異例の計画は、新興市場での能力増強投資や販売体制の拡充、粗利の少ない製品を増やすことによる。肉を切らせて骨を断つような計画に、シェア拡大の本気度が伝わってくる。

 シチズン時計は昨秋までの工作機械市場の世界的な活況を受け、18年度は売上高が前年度比17・2%増の750億円、営業利益が同34・6%増の140億円を見通す。営業利益は本業の時計事業の136億円を上回る予想。13―18年度の長期計画で時計事業に次ぐ第2の柱へと育成してきたが、利益面では、時計事業が外部環境の変化に一進一退する間に大黒柱に育った。

 中計の売上高目標の800億円は18年度並みの好環境を前提にしたという。「シェア拡大は中国、アジアが中心に担っていく」(古川敏之取締役)と得意地域の日本、米国に、成長余力の大きい中国、アジアでの販売攻勢を加え、トップラインを引き上げる算段だ。現状の売上高750億円規模で工場がフル稼働であることから、中国や東南アジアの工場の生産能力増強を検討していく。

 一方、シチズンの主力製品で、細長い棒状の材料の加工に向く「主軸移動型自動旋盤」は、ツガミが中国の“巨人”だ。ツガミの18年度の連結売上高予想は631億円、営業利益は89億円とシチズンを下回るが、ツガミの調べでは中国シェアは6割を超える。同社最大の工場と現地資本の販売代理店網を抱える様子から、「中国で中国企業と認識されている」(ツガミ)と地場に深く根付く。

 ツガミもアジア投資を再加速中で、20年に成長市場のインドで生産能力を18年末に比べ約3倍の月産200台に引き上げるほか、21年に中国・安徽省で鋳物、組み立ての新工場を稼働させる。生産コストを勘案し、月産100台を目安に鋳物を内製に切り替える考えがあり、インドでも鋳物工場を併設させる。中国新工場は、上海近郊の現工場が環境規制などで操業ができなくなった際のリスクヘッジの役割も担う。先行逃げ切りの手綱を緩めるそぶりはない。

 ツガミは03年の西嶋尚生会長兼社長の就任から中国シフトを鮮明にし、約20年をかけて現体制を築いた。シチズンの場合、切りくずを分断する自動化技術が先進国の深掘りにつながり、業績に寄与したようだ。コスト削減に効果があるとする、残材接合の新技術を含め、自動化要求の強い中国でどこまで受け入れられるかが、中計達成のカギの一つとなる。

日刊工業新聞・六笠友和

最終更新:3/4(月) 9:05
日刊工業新聞電子版

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