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教育者志望からバンドマンの道へ 結成17年“日本一泣けるコミックバンド”の夢を叶える姿

3/5(火) 12:00配信

エキサイトミュージック

四星球(ヨミ:スーシンチュウ)は今年で結成17年のロックバンド。「日本一泣けるコミックバンド」と呼ばれ、年間のライブも数多だ。そのライブはサービス精神とバイタリティに溢れ、その時々のシチュエーションや開催主旨に準じ、毎度全く別の切り口のサプライズを用意して行われている。なかでも、都度イベント主旨に合わせて登場するダンボールを用いた小道具には定評があり、遂にはダンボール会社のCMに抜擢されるほど。笑いあり、涙あり、感動あり、観る度に元気がもらえるライブは人気も高い。ひいてはそれがリピーターを生み、彼ら出演のライブはどこも満員だ。

そんな彼らだが実はメンバーの3人はかつて教育者を目指していた教育大学出身者だったりする。

「自分では17年もやってきてたんだ?って感じです。大学の同窓生たちはみんな先生になってますから」(ボーカル : 北島康雄)

「周りからは“苦労人”っぽく映るようですが、当人たちはそれすらも意識してなくて(笑)。“もう、こうなったらとことんこれを続けてやる!”そんな意地が年々増してる気はします(笑)」(ベース : U太)

「20年30年やり続けて陽の目を見たり、未だしっかり活動し続けている先輩バンドたちの、その姿にも憧れを含め背中を押してもらってます。自分たちもこれまでちょっとしたマイナーチェンジや方向性の変化はありつつも、ブレずにここまでやり続けている自負がありますから」(ドラム : モリス)

「正直、騙し騙しここまでやってきたかなって。周りのみんなが大学を卒業して教師になっていったり、どんどん先を超していく後輩のバンドも現れる中、自分たちもいつかは陽の目を見るだろうと言い聞かせて来ました。親には目立ったり良い面のみを報告したりして(笑)。でもようやくここ数年で、その辻褄が合ってきて。これまでの点が線に繋がってきたり、芽を出し始めてる実感はあります」(ギター:まさやん)

念願の番組出演 ダウンタウンの前で歌った『HEY!HEY!HEY!に出たかった』

ダウンタウンが大好きな北島は、音楽バラエティ番組「HEY! HEY! HEY!」への出演をずっと夢見ていた。だが、2012年12月に番組は終了。2013年8月リリースのアルバム『COMICBAND~アホの最先端~』に収録された『HEY!HEY!HEY!に出たかった』にて<ミラクルエースの格好で出たかったんだよ/HEY!HEY!HEY!>と悲痛な思いを歌にしていた。

そんななか、2018年2月に若手新人が出演するスピンオフ番組『HEY!HEY!NEO!』への出演が決定。6年越しの夢が叶った。憧れていたダウンタウンの松本人志や浜田雅功との会話はもちろん、番組のトリとして『HEY!HEY!HEY!に出たかった』を披露。曲の中盤で自作したミラクルエース(※「ダウンタウンのごっつええ感じ」で松本人志が演じたコント・キャラクター)の格好に着替え、歌い上げたのだった。

「念願が叶いました。年齢的にも影響を受けた世代だったし。やはり当時の同級生が喜んでくれたのが嬉しかった。あと今一緒にライブハウス等で共演しているバンドマン連中からの祝福も嬉しかったな。彼らには“テレビに出てどう思われるんやろう?”との心配もありましたが、逆に一緒に喜んでくれて。あれは嬉しかった」(北島)

バンドを15年続けてようやくのメジャーデビュー。そして、憧れの番組への出演も果たした。その後も動員を上げ続け、ほかにも次々と夢を叶えている。

「夢を叶えていく様を見てもらいたい、そんな意識もあります。でもここ数年はキャパシティやライブの規模の拡大よりも同じ会場を2年連続でやって前年よりもおもろいことが新しく出来ているか?の方を大事にしていて。常にクオリティを上げて、『もう出尽くしただろう』と思われる先の、『それでもまだ何かあるはずだ』と信じれる力や、『まだそんなことがやれるんや?』という可能性。その辺りを見て、仲間のバンドたちには、俺らもまだまだやれるぞ!!と思って欲しい。基本やっていることは一緒やけど、その内容はライブ毎に全く違いますから、ウチら」(北島)

「会場の大小に変わらずフットワーク軽く、自分たちの最大限を出したり精一杯やっているだけです」(U太)

「お客さん然り、そのライブの主催者然り、期待に応えつつ裏切りつつを心がけてやってます」(まさやん)

では彼らにとって、やる上で常に大切にし、大変にしていることは何だろう?

「新鮮さを保つことです。定番にどう都度新しいものを組み込んでいくか?それが新しいことを生み出すことには不可欠ですから」(北島)

ライブで笑ってもらえることは“安心感”や“信頼感”がある証拠

彼らの歌はとにかく分かりやすい。メロディもキャッチーだし、リフレインも覚えやすい。それが最も強味だと考える。

「曲毎の分かりやすさもですが、合間合間のトークやコントも含め、ライブ全体の憶えて帰ってもらいやすさは意識してます。全体を見てもおもろいし、どこをつまんでもおもろいし心に残ってもらえる。そんなライブを心がけていて。それに、ライブに来てくれはるお客さんの層や世代も大事にしてます。それは自分たちのライブには色々な層の方に来ていただきたいからでもあって」(北島)

実際に彼らのワンマンライブでは、かなり幅広い層の男女が集まり、ライブを楽しんでいる様相が伺える。

「好きな音楽ジャンルも性別も年齢も不問で、集まって下さった方々が一斉に笑い、自分たちのステージで楽しんでもらってる。そんな光景を見たくて。僕らの強みはやはりどこめがけてもやれる部分ですから。特性が楽曲だけではないので入り口も作りやすいし、広いし、入って来やすい。あとはゴールをどこに設けるかで。入口はめっちゃ広いですが、逆にゴールはみんなが一緒になれるところを目指しています」(北島)

「笑ってもらえるって一つは安心感や信頼感がある証拠ですから。よく『ライブを観て元気になりました!』と声をかけられますが、そこは目指しているところでもあります」(U太)

「コミックバンドでありながらも熱量やバイタリティはしっかりと伝えたい。笑ってもらうだけじゃないですから、うちら」(モリス)

「僕ら自身もお客さんやメンバーから元気やエネルギーをもらってます。演者でありつつも一観客みたいな。自分たちで自身を飽きさせない。それを常に持ってライブには挑んでます」(まさやん)

メジャー初のオリジナルフルアルバムで聴く者に“夢”を持たせる

そんななか発売のメジャー1stオリジナルフルアルバムが、この『SWEAT 17 BLUES』だ。今作からは様々な人たちを元気づけ、笑わせ、ホロッとさせ、よし! と思わせる以外にも、聴く者に夢を持たせる効力も多分に擁している。

「今回は“聴いている方に向けて”を強く意識しました。これまでは自分に向けての歌を通し、聴き手が自分の気持ちや想いを重ね、自身のものにしていた曲が中心でしたが、今回は“あなた”とキチンと対照的な言葉も使っていたり。そんなのはラブソング以外では初で。ようやくそのような歌も照れずに歌える年齢になったのかなって。それも向き合ったり触れたりする人が増えたことに起因しています」(北島)。

「どっしり肝の据わった安定感のある作品になったかなと。これまでは自分たちの歌いたいことや思いついたことを、とりあえず入れ込んでいただけでしたが、今作は“自分たちは何を必要とされているのか?”も考え、それと、“自分たちもお客さんもどれだけ楽しめるか?”その双方を詰め込めましたから」(U太)。

確かにこれまでは“放つ”的な印象だった彼らの歌が、今作からは“贈る”や“届ける”的な手渡しを感じる。

「出来る限りそぎ落として、より伝わりやすく、を意識しました。幅広い人に届くようにと。基本僕たち欲張りなので、音楽もやりたいし笑わせもしたい、感動もさせたいタイプで。そこに対して、これで伝わっているのかな?的な不安が正直以前からあって。でも今作ではそれがなくなりました。より自分たちの方法論や本質に気づけたし自信を持てた。それを経ての作品になった感は凄くあります」(まさやん)

「どこを切り取って聴いてもらっても成立するし、もちろん通して流れで聴いてもらっても成立する。そんな作品を目指しました。あと、色々なところに様々な伏線を張り巡らせているので、2回目に聴いてようやく、“これとこれはこう繋がってたんや……”という発見も多々あるでしょうし。色々とトラップも仕掛けてます(笑)。それこそこれ一枚で自分たちのワンマンライブを体感できる内容になっていますから」 (モリス)

雑に作っているようで、実はすごく精工で緻密に作られているのも今作の特徴だったりする。

「いい意味でメジャーとインディーズの違いを出したかったんです、幅広い層に聴いてもらえる可能性も含めて。やっていることは変わらないけど、グレードアップを感じさせられる、そのまんまフィールドだけ大きくしていく、その辺りは意識しました。今回の高橋久美子さん(元チャットモンチー)とやった交互に詞の朗読をする曲(「交換日記倶楽部 feat.高橋久美子」)も、それこそメジャーじゃないと実現しなかったコラボだっただろうし」(北島)

かつての自分に向けてという作風も印象深い今作。なかには数曲、今の自分がかつての自分へとメッセージを綴った手紙のような楽曲も耳を惹いた。

「それこそ今回の17というワードからですね。自分が17歳だった頃に向けてとか。聴いて下さる方が、“自分が17歳の頃はどうだったかな……?““こんな気持ちの時があったな”とか、いろいろと振り返ってもらいたい。その回春的なものが実は若返えらせる大きな薬になる。そんな、“どうやったら若返るのか?”は考えました。とは言え、それはノスタルジーの類いとは多少違っていて。それを振り返ることで、また今を頑張れたり、よし! と思えたりと、かえって前に進める。そんな振り返りになって欲しかったからなんです」(北島)

そう。私が今作に副題をつけるなら、まさに「聴けば聴くほど若返る1枚」。聴き終えた後、ちょっとセンチメンタルな気分を伴うだろうが、気持ちはいたって前向き。明日への活力にも繋がる。今作を聴いて昨日よりも確実に若返った表情のみんなが浮かんできた。

取材・文/池田スカオ和宏

ikeda

最終更新:3/5(火) 13:15
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