ここから本文です

専門家が警鐘 ストロング系チューハイ「安く気持ちよく酔える」の落とし穴

3/5(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 道端や電車内などで昼間から“ストロング系缶チューハイ”を飲んでいる人をよく見かけるようになったと思わないか? 大森榎本クリニックの斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)は「ここ数年、ストロング系缶チューハイによるアルコール依存症の受診者が増えている」と指摘する。

 “ストロング系缶チューハイ(以下、ストロング系)”とは、アルコール度数が高めの缶チューハイ。一般的な缶チューハイのアルコール度数は3~6%と、ビール(5~6%)と同程度か、それより低いくらいだ。ところがストロング系の主流は9%。最近はアルコール度数12%という、ワインや日本酒(どちらも14%)に匹敵するものまで出てきた。

 ストロング系が分類される「RTD(Ready to Drink=購入後そのまま飲める)」の市場は10年連続で伸び続けている。

「高齢者、若者に限らず、アルコール依存症患者の飲酒内容が明らかに変わってきています」

 こう話す斉藤氏によれば、かつてはワンカップの日本酒や紙パックの焼酎を飲み続けるアルコール依存症の人が多かった。ところがこの数年、アルコール依存症の初診患者によく飲むアルコール類を聞くと、多くはストロング系と回答。アルコール依存症治療に関わるほかの専門家からも、同様の意見が聞かれるという。

 その大きな理由となっているのが、ストロング系の値段の安さだ。ネットの某サイトを見ると、缶ビール500ミリリットル1本は280円。ストロング系500ミリリットルは140~160円とミネラルウオーターよりも安い。

「しかも強炭酸で柑橘系の爽やかな味です。炭酸が入ったアルコールの方が血中濃度が短時間で上昇し酔いやすく、“安くて手っ取り早く気持ちよくなる”という点もポイントなのでしょう。毎日飲んでいるうち、次第に飲む本数が増えていき、当院に来た時には1日10本以上ストロング系を飲んでいる人もいました」(斉藤氏=以下同)

■500ミリリットルでテキーラ4杯分のアルコール量

 ストロング系のアルコール摂取量を計算すると思った以上に多いことが分かる。純アルコール量は「アルコール飲料の量×アルコール度数÷100×0.8」。アルコール度数9度のストロング系500ミリリットルでは純アルコール量は36グラム。これは、テキーラをショットで4杯弱飲んだ量に相当する(1日の適量は約20グラム)。テキーラをショット4杯、毎晩飲んでいたらさすがに飲み過ぎを自覚するだろうが、ストロング系では、さほど“多い”というイメージを抱かないのではないか。

「CMやパッケージのデザインの影響で、ストロング系は飲むことへの罪悪感が少ないのかもしれません。プリン体や糖質がゼロのものもあり、一見体に良さそうなイメージもある。本人も家族もストロング系に対して、“飲み過ぎればアルコール依存症のリスクがある”と危機感を抱いていないように感じることもある」

 言うまでもなく、ストロング系が悪いのではなく、問題は飲み方だ。もし、家族や友人が「ビールより安いから」との理由でストロング系の“宅飲み”が習慣化していたら、将来のアルコール依存症のリスクも考えた方がいいかもしれない。斉藤氏によれば、飲み方や体質によっては数年でアルコール依存症になる人もいるという。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事