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事業部門を悩ませるRPAの導入障壁

3/7(木) 9:24配信

TechTargetジャパン

 霊長類学者のシフネ・プルースホフト氏によると、人間の笑いには「恐怖を認め、争いを避けたいという意思を伝える」意味があるという。理由はどうであれ、BASF(総合化学メーカー)でグローバル金融シェアードサービス部門のシニアバイスプレジデントを務めるダニエル・ドーンブッシュ氏は、登壇したカンファレンスで聴衆の爆笑を誘った。同氏のチームが取り組んでいるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)による効率化とIT部門の関係についての質問に答えたときだった。

 同氏は控えめに答えた。「IT部門も同僚だ。サーバは必要だ。そしてIT部門を介さないとサーバは使えない」

 RPAメーカーのUiPathが英ロンドンで開催したカンファレンス(2018年10月)で、ドーンブッシュ氏はIT部門に感じるいら立ちについて触れた。同氏によれば、社内サーバに「UiPath」をインストールすることを要請すると、IT部門は「このRPAインフラは別のアクティビティーをホストするために使いたい」と答えたという。同氏のRPAチームはビジネスプロセスの専門家との距離を保つため、独自に技術を管理することにした。

 「こうしたやりとりは途切れることなく続いている。一元化しなければならない業務は確かにあるし、そうすることは正しい。だが特にRPAは、プロセスを理解している人々と非常に密な関係を築くことが必要だ」(ドーンブッシュ氏)

 Gartnerによると、企業がRPAに目を向ける理由は手動タスクの自動化とミスの低減を素早く簡単に行うためだという。同社の調査によると、2018年にはRPAソフトウェアへの投資額が全世界で6億8000万ドル(約742億円)に達した。これは前年比57%増に当たるという。2022年には累計24億ドル(約2621億円)になると予想している。

 ドーンブッシュ氏は、RPAチームがIT部門との交渉に費やした期間は約7カ月に及んだと話す。こうした関係に悪戦苦闘しているのはBASFだけではない。

 Lombard International Assuranceのビジネス変革および調達部門長を務めるクリスチャン・ポーン氏は、同じUiPathのカンファレンスで次のように語った。「『IT部門との関係は最初から非常に良好で、彼らはRPAをとても気に入ってくれている』という企業など聞いたことがない」

 ただしIT部門がある理解に至ったとき、同氏のチームとの関係に転機が訪れたという。それは、RPAを運用するビジネス変革チームが、新たなエンタープライズアプリケーションの導入促進に必要な変更管理をサポートできることを理解したときだ。

 保険会社Direct Line Groupでビジネスサービス部門のディレクターを務めるクリスチャン・デイビッド氏は、IT部門がRPAの発展を滞らせることに懸念を示した。だが、同氏のチームにも改善点があることを認識している。「最初はあまりうまくいかなかった」

 「RPAソフトウェアのライセンスを幾つか購入してから、『これらのソフトウェアをメインフレームに接続してほしい』と要請してしまった。自動化は団体競技であり、このやり方は失敗だった」

 同氏によると、Direct Line Groupにとっての正解はIT部門の信頼を得ることだった。「自分たちが自動化チームのプロフェッショナルになれることを証明し、面倒を起こそうとする単なるIT機能の集まりではないことを示すようにした。するとIT部門の態度が一変し、より協力的かつ温和になった」

 「今は有意義なやりとりができるようになっている。当チームのアプリケーション開発リーダーは、チームをサポートできるよう何人かの開発者をクロストレーニングした。こうした開発者は空き時間にRPA開発のサポートに回ることができる」

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