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「ブラクラ」補導、不当か妥当か ネットリテラシーと大衆化のジレンマ

3/7(木) 21:12配信

ITmedia NEWS

 ポップアップが繰り返し表示されるサイトのURLを掲示板に書き込んだとして、兵庫県警が「不正指令電磁的記録供用未遂」の疑いで女子中学生を補導、成人の男性2人を家宅捜索した。このニュースをNHKなどが3月4日に伝えてから、ネット上では今回の行為がいわゆる「コンピュータ・ウイルスに関する罪」に当たるのか、中学生への補導が適切だったのか、議論が続いている。

かつてのブラクラサイト「You are an idiot」

 記者としては、正直に言って「ただのいたずら」という認識だ。後述するようにプログラム自体はシンプルなもので、「ウイルス罪」の供用を成立させるかも怪しい。

 しかし、ネット上の意見を見ていると「取り締まって当然」「知識がない人にとっては実害がある」という声も少なくない。

 本件をめぐってのネット上の議論を見ていくと、意見の違いには「議論の前提となる事件の内容」や、「ネットリテラシー」に対する習熟度の違いがあるように感じた。

そもそも「ブラクラ」なのか

 今回の事件が報道されるに当たり、掲示板に貼られたリンク先が「ブラクラ」だという認識が、一部メディアやネットユーザーの反応に見られた。

 ブラクラとは「ブラウザクラッシャー」の略だ。ブラウザのウィンドウなどを無限に開くコードをWebページに仕組むことで、当該Webページを開いたユーザー環境に負荷をかけたり、操作不能にしたりするものだ。

 しかし、実際に開いてみると分かるが、今回のページは一般的に「ブラクラ」と呼ばれるものとはかなり異なっている。

 今回のリンク先のページは「ポップアップを繰り返し表示する」というもの。JavaScriptというWebアプリ向けのプログラミング言語で、ユーザーに気付きを促す「アラートダイアログ」の表示を、特に抜け出す条件を定めない繰り返し構文(いわゆる無限ループ)で命令していた。

 アラートダイアログは1つのWebページに1つしか表示されないため、放っておいても悪質なブラクラのようにダイアログが無限に生成されることはない。

 そのため操作不能には陥らず、冷静に当該ページのタブを閉じれば他に影響も残らない。PC向けブラウザはもちろん、スマートフォンの「Chrome」や「Safari」でもタブを閉じるだけで対処できる。

 ダイアログの「閉じる」ボタンを押せば再びダイアログが生成されることから「ポップアップが繰り返し表示される」という表現は間違っていなくもないが、このような理由から、一般的に「ブラクラ」という言葉から想像できる、アプリやハードをクラッシュさせるような悪質性はないといっていい。

 よって、動作の実態を見た上での意見か、報道や伝聞からのみ受ける印象からの意見かでは、議論の前提が大きくずれてしまう。

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最終更新:3/8(金) 19:48
ITmedia NEWS

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