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「創業するなら埼玉」を合言葉に スポーツに焦点を当てたスタートアップ支援プログラムの背景

3/8(金) 12:01配信

みんなの2020

昨年8月に大宮ソニックシティでキックオフイベントが開催され、そこで発表されたテーマをもとに応募のあった70組から、書類審査による1次選考で43組を選出。9~11月には楽天大学学長の仲山進也氏や先輩起業家らによる4度のワークショップなどを経てビジネスプランをブラッシュアップしていった。

「創業を促進するにあたって、創業者同士、もしくは先輩起業家とのコミュニティーをつくることが大切になると考えています。起業家の方は事業について相談する相手がいないこともあるなど、どうしても孤独を感じてしまうところがあります。楽天大学の仲山さんは、そうしたコミュニティーづくりに長けていることや、これまでに楽天の出店企業を大きく成長させてきたことで知られていることもあり、ワークショップの講師を務めていただきました。予定されたインプットを行う座学の講座というよりは、グループワークをメインに実践状況に応じて必要なテーマを臨機応変に行いました。そうした中から実際に参加者同士で一緒にビジネスをするといった話も出てくるなど横のつながりが生まれていったことはうれしい動きでしたね」

今年1月の最終選考会で10組がプレゼンテーションを行い、4組が伴走支援対象者として選出された。

1つ目は、codience(コーディエンス)代表の大石懐子氏による「スポーツ×STEM(Science, Technology, Engineering & Mathematics)教育」。例えば「野球の変化球はなぜこのように曲がるのか」を科学的に研究するなど、創造性、自発性、問題解決力が磨かれるといわれるSTEM教育にスポーツを掛け合わせることでさらなる相乗効果を狙い、スポーツ技術の向上にも生かしていくというプランだ。子供が新たにスポーツや科学に興味を持つきっかけとしても期待される。

2つ目は、株式会社Sportip代表取締役の高久侑也氏による「AIによるトレーニングコーチ」。例えば野球の投球フォームをスマホで撮影し、AIで解析・分析することによってフォームの修正やトレーニング方法の助言をするといったアプリの開発を行うプランだ。プロやトップアスリートのように専門のコーチを付けられないアマチュアアスリートでも、アプリを使用することによっていつでもどこでも誰でも個人最適化されたトレーニングのアドバイスを受けられるようになることで、技術の向上はもちろん身体的な負担を軽減することが期待される。

3つ目は、タイムカプセル株式会社代表取締役の相澤謙一郎氏による「スポーツメディアクリエイターの育成」。プロスポーツチーム認定の広報としてファンに活動してもらい、さらにファンを増やしていくというプランだ。現状、動画共有サービスにはファンが撮影した試合動画が投稿されていることが見受けられるが、こうした行動は実際には著作権の観点から問題となってしまうことがある。しかしそうした人たちは熱心なファンでもありチームにとって財産でもあることから、研修・トレーニングを通じて公式認定(スポーツメディアクリエイター)を付与し、さらには普段なら入ることのできないエリアでの撮影も認めるといった特典を付けていくことによってインセンティブを高めていくプランとなっている。

最後は、playground株式会社の下郷勝啓氏による「ファンと地域をつなげるコネクテッドスタジアムの実現」。「MOALA」というWebプラットフォームを導入するもので、主力機能の電子発券サービス「Quick Ticket by MOALA」はサービス開始時から西武ライオンズに導入されている。利用者はLINEやメールなどで電子チケットを発券し、スマホ画面に表示するだけで入場できるだけでなく、試合中の情報やイベント、さらには近隣のお店のクーポンや地域の情報を受信できる。チーム、ファン、地域の継続的なコミュニケーションを図れるのがメリットとなる。

「スポーツは今後産業として大きく成長していくことが期待される分野であると同時に、他の産業の価値を高めていくものでもあると思います。スポーツの持つ発信力であったり、たくさんの人の情熱をかき立てることであったり、スポーツ×ITやスポーツ×教育など、スポーツと他の産業を掛け合わせていくことでもっともっと地域経済が活性化していくという可能性があると考えています。埼玉県にはもともとスポーツをすることも、見ることも、地域の文化として根付いていましたが、そこにもう一つ、『スポーツで創業する』ことが加わればと。埼玉県が、スポーツを活用した事業を通じて自分の夢をかなえる、より楽しい、より幸せな人生を送れる場所となれるようにという気持ちで支援を続けていければと考えています」


※この記事は「みんなの2020」で2019年3月に制作・掲載されたものです。

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最終更新:3/8(金) 12:01
みんなの2020

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