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「はんこ文化」にフィンテックの荒波-銀行で不要に、外国人には人気

3/9(土) 6:00配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 三菱UFJ銀行で高機能を備えた現金自動預払機(STM)の推進に携わる小倉誉之氏は、この2年間、10人ほどのチームメンバーと手分けして全国約470の市区町村を訪れた。顧客による税金や公共料金の支払いをこのSTMで扱えるようにするためだ。

1月に開設した新型店舗「MUFGネクスト」は、顧客がタブレット端末やテレビ電話、将来的には仮想現実(VR)も駆使して各種手続きができる設計。しかし、市民税など自治体ごとに書式が違う納付書に「はんこ」を押す作業が機械にはできず、自動処理した用紙を市町村に受け付けてもらえるよう交渉する必要があった。

「一定の書式に対応する機械を作るのは簡単だが、書式が変わり印鑑がなくても支払いができる環境づくりに時間がかかった」と小倉氏は振り返る。書式が変わることに難色を示す自治体については、納付書を機械に入れるとアラームが鳴り、行員が手作業で出納印を押す対応をしてきた。今では約450自治体の納付書をSTMで扱える。

印鑑を重視する文化は根強い。特に中小企業では社印や銀行印を多用しており、金融機関の取り組みだけでは効率化が進まないのも現状だ。都道府県や市町村は、公金の支払い事務を扱う銀行を「指定金融機関」と定め、窓口で公金を受け取り、所定書式に出納印を押すことを求めている。

クレジットカード利用やネットバンキングへの移行も推進しているが、国税庁管轄下では指定金融機関を利用して支払いをする割合が全体の7割を占めている。

販売数は微減

東京近郊の部品製造会社に勤める吉田美南さん(26)は毎月、銀行窓口で仕入れ部品の支払いをしている。申請書に経理部の認め印をもらい、社長の決裁が下りると会社の銀行印を持ち出せる。支払いの終わった銀行の振込用紙は購入部品の詳細と共にファイルにとじ、製造現場の職人たちがパソコンを開かなくても履歴を確認できるようにしている。

吉田さんは、銀行での順番待ちも、印章押印も「すごく手間がかかる」が、同時に「金庫にある銀行印は限られた人しか使えず、不正防止になる」と感じている。特定の個人しか登録できない生体認証では「私が風邪をひいたときに、代理を頼めない」ため印鑑の代わりにはならないと語った。

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最終更新:3/9(土) 6:00
Bloomberg

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