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段ボールベッドで避難所革命 東日本大震災がきっかけで開発、下町企業が利益より優先するものとは

3/11(月) 7:00配信

withnews

 東日本大震災の発生から、今日で8年。地震や大雨といった自然災害が起きるたび、いまも全国各地で避難所が設営されます。そこで最近、段ボール製の簡易ベッドをよく見かけるようになりました。固い床に寝るよりも疲れがとれて暖かく、心身の負担を和らげられるといいます。他人の視線を遮る仕切りもつけられます。雑魚寝が当たり前だった空間を変えたのは、小さな段ボールメーカーの社長でした。(朝日新聞経済部記者・伊藤弘毅)

【画像】段ボールベッド、西日本豪雨の被災地ではこんな使い方

西日本豪雨の避難所にもずらり

 広範囲で被害を出した、昨年夏の西日本豪雨。避難所になった広島市の小学校体育館には、段ボール製の簡易ベッドが並んでいました。大阪府八尾市の「Jパックス」が開発したもので、水谷嘉浩社長(48)が自ら組み立て方を教えてまわっていました。
 Jパックスは1951年の創業で、大阪府内や京都府、奈良県などの企業向けに段ボールをつくり、売っています。従業員数35人、売上高約5億円の中小企業です。

3・11後、試作品完成「拡散希望!」

 段ボールベッド開発のきっかけは、2011年3月11日に起きた東日本大震災でした。自身も東京出張中に強烈な揺れを経験した水谷さん。東北地方の底冷えのする避難所では、雑魚寝で体調を崩す人が多いと知りました。
 保温性のある段ボールでベッドを作れば、床に寝るより確実に温かい。足も伸ばせるため、エコノミークラス症候群にもなりにくいのでは。そう思いついた水谷さんは、さっそく会社にある資材でベッドを組み立て、画像を添えてツイッターに投稿しました。
 「拡散希望! 段ボール製簡易ベッドの試作品完成。たくさん作って被災地に寄付します。少しでもお役に立てれば。このツイートが被災地の方に届け!」

被災地へ7往復のトラック便

 それを見た宮城県石巻市の医師が反応し、まず200床分を用意。自らトラックを運転し、避難所に届けました。大阪と被災地のトラックでの往復は、通算7回におよびました。
 ある避難所では、最初の訪問時に寝たきりだった高齢の女性が、1カ月後に再訪すると手押し車を頼って歩けるまで回復していたといいます。「ベッドのおかげだと感謝された。必ず役に立つと確信した」。水谷さんが段ボールベッドの普及を目指そうと決めた瞬間でした。
 最初の試作品は200床分を組み立てるのに、約30人の従業員が総出で3日かかったといいます。もっと簡単に組み立てられないか。そこで、大きな箱のなかに小さな箱を入れて強度を増し、それを六つ並べてベッドにする方法にたどりつきました。カッターを使わずに1台15分で作れて、大人が20人乗っても壊れません。これを「暖段はこベッド」と名付け、意匠・商標登録を取得しました。

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最終更新:3/11(月) 10:54
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