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監督が語る、島本須美の予告が印象的な『たちあがる女』が描く自由

3/11(月) 6:33配信

dmenu映画

日本版予告のナレーションを『風の谷のナウシカ』(1984年)のナウシカの声優である島本須美が担当していることもあり、ヒロインが弓矢で電線を射る勇ましい姿がどことなく現代版「ナウシカ」を連想させる『たちあがる女』(3月9日より公開)。

メガホンをとったのは、処女長編作『馬々と人間たち』(2013年)で、いきなり世界各国の映画祭で20以上もの賞を獲得し、アキ・カウリスマキやロイ・アンダーソンにつづく北欧の才能と目されている、ベネディクト・エルリングソン監督だ。

コーラス講師の裏の顔は「過激な環境活動家」!?

物語の主人公は、表向きは爽やかなコーラス講師だが、実は裏では「過激な環境活動家」でもあるという、いさましき双子の妹・ハットラ。長年独身を貫いてきた彼女が、養子を迎えて母親になる決意をしたことから巻き起こる大騒動が、驚きの演出とともにユーモアたっぷりに綴られていく。

この愛すべきユニークな作品に「言葉では言い表せない興奮」を与えられ、「これは私たちの時代を代弁する作品だ」とまで言い切った人物がいる。

その人こそ、いまやハリウッドを代表するインテリ映画人ともいうべき、ジョディ・フォスターだ。すでにフォスター自身の監督・主演でハリウッド・リメイクも決定しており、いったいこの作品がフォスターの手でどんなアレンジを加えられるのか、興味津々だという人も少なくないだろう。

なかでも気になるのが、『たちあがる女』においては、ウクライナの民族衣裳に身を包んだ合唱隊やブラスバンドが、ハットラの後ろや横に現れて、突如として音楽を演奏したり歌い出したりするという、ちょっと変わった演出があることだ。

果たしてベネディクト・エルリングソン監督本人は、ハリウッド・リメイクについてどう感じているのか。スカイプインタビューで監督に直接訊ねてみたところ、過去に日本を訪れた際の印象や本作誕生の裏話を交えながら、非常に興味深い話を次々と披露してくれた。

「笑い」はシリアスなことを伝える上で起きる「副作用」

2014年の東京国際映画祭で日本を訪れたんだけど、僕にとっては忘れがたい素晴らしい思い出なんだ。まるで宇宙船に乗って別の惑星に行ったような感覚が味わえたからね。アイスランドには広大な自然が広がっているけど、東京には小さな公園とか神社仏閣が点在しているよね。きっとそこが街の肺の役割を果たしていると思う。

今回の『たちあがる女』は、割と文学の影響が大きいと言えるかな。たとえばアストリッド・リンドグレーンが書いた『長くつ下のピッピ』とかね。僕の映画は「コメディっぽい」と言われることもあるんだけど、実は最初からジョークを追いかけるような作り方は全くしていないんだ。僕にとっての“笑い”とは、シリアスなテーマを伝えるときに生じる“副作用”にすぎないんだよ。

僕はもともと舞台の出身なんだけど、僕にとって「舞台」はアイデアが次々と湧き出てくる「井戸」みたいな存在で、すべてのインスピレーションの源なんだ。そもそもアイスランドで上演される舞台には、とてもアバンギャルドなものが多いからね。

『たちあがる女』には、ウクライナの合唱隊とブラスバンドが主人公の守護天使みたいな感じで現れて、いきなり演奏したり歌ったりするシーンがあるんだけど、これも舞台に置き換えて考えたらそれほど珍しい演出じゃないよね。実際にギリシャ悲劇なんかでは、割とよく使われる手法でもあるから。

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最終更新:3/11(月) 6:33
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