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「米朝首脳会談決裂は日本のせい」 韓国で広がる安倍首相批判

3/11(月) 12:40配信

ニュースソクラ

ボルトン補佐官はじめ米国も非難の対象に

 北朝鮮の非核化をめぐる「ハノイ米朝首脳会談」が「決裂」したことで、韓国の文在寅政権の対北朝鮮政策を支持する層から、決裂の原因は「米国と日本のせい」とする声が上がり始めた。

 金大中・盧武鉉政権で統一部長官を務めた丁世鉉(チョン・セヒョン)氏は、「第2回米朝首脳会談が決裂したのは米国のジョン・ボルトン国家安保補佐官のせい」と主張した。3月5日、与党「共に民主党」が主催した懇談会に出席した丁氏は、「ボルトン補佐官は朝鮮半島問題において目障りな人」と非難。 「彼は、インディアンを殺しておきながら良心の呵責もなく、自身をよくやったと正当化する西部劇の白人騎兵隊隊長を彷彿とさせる」「(ウラン濃縮施設があるとされる) カンソンは昨年6月にすでに出た話だ。古い情報を持ち出してムードを反転させ、世論を逆流させる手先がボルトンだ」など、荒い表現を使って攻撃した。

 丁氏はボルトン補佐官の背後に日本がいるとも主張した。「(ボルトン補佐官は)安倍晋三首相に頼まれたように思われる」「(ボルトン補佐官は)ワームビア事件の話を取り上げながら、(日本人の)拉致問題も話したはずだ。金正恩委員長は困惑するしかない。そのせいで会談が決裂したと思われる」と分析した。

 盧武鉉政権時代に統一部長官を歴任した鄭東泳(チョン・ドンヨン)民主平和党代表は3月2日、自身のフェイスブックを通じて、会談失敗の背後に安倍首相がいると主張した。

 <日本が怪しい。 ハノイの談判決裂の背後に日本の影が見え隠れしている。全世界の指導者の中でハノイ会談の失敗に歓喜したのは安倍首相一人だけだ。彼は昨年、シンガポールでの米朝首脳会談以降、一貫して『3NO』を叫んできた。『終戦宣言NO、制裁緩和NO、経済支援NO』の3つは、韓国内の保守勢力の主張であると同時に、ハノイ会談の撃沈を願ってきたワシントンの強硬勢力の考えと一致する。

 一つの場面が重なって浮かび上がる。今年の2月中旬、国会議長と与野党の代表団が米下院外交委員会を訪れた時の話だ。意外にも下院議員が約14人も出席した。討論が始まると、1人、2人、3人。。。マイクを握った議員はみな、米朝会談に対する懐疑論とともに日本(日韓問題)を取り上げた。エリオット・エンゲル下院外交委員長は、「韓国はなぜ、朴槿恵-安倍間の慰安婦合意を破ったのか」と問い詰めた。

 何か嫌な感じがした。日本がワシントンのロビーに注ぐ人的・物的資源は韓国の60倍にのぼる。ハノイの外交的失敗が安倍政権の歓喜につながる北東アジアの現実こそが、厳しい国際政治の素顔であろう。ただし、韓国内部にも安倍首相のように歓呼する勢力が少なくないというのが悲劇だ。>

 盧武鉉政権の保健福祉部長官を歴任し、現在リベラル系の次期大統領候補の中で支持率1位の柳時敏(ユ・シミン)氏も3月2日、自身のユーチューブチャンネルで、「日本と保守系メディアが会談決裂に歓喜」と非難した。「ハノイ会談が合意に至らなかった結果が出て、世界で一番喜んだ人は日本の安倍首相だった。日本の閣僚たちが喜色満面で『よかった』という場面を見て腹が立った」「安倍首相だけではなく、私たちの周りにもそんな人がいるようで心が痛む。いくら民族主義が文明の大勢ではないとしても、(会談決裂を)喜ぶ心理は理解しがたい」

 文在寅政権の行政安全部長官で次期大統領選挙の有力候補の一人である金富謙(キム・ブギョム)氏は3月1日、自身のファイスブックで、「日本の妨害に立ち向かわなければならない」と主張した。彼は、「ベトナム・ハノイでの第2回米朝首脳会談は、決裂という意外な事態を迎えた」と言及した後、「南北の互恵的関係を望まない勢力が確かに存在する」「米国と北朝鮮に対しては忍耐を持って説得すべきであり、日本の妨害には断固として立ち向かわなければならない。反共主義が我々を揺さぶっても絶対に動揺してはならない」と強調した。

 韓国の公営放送『KBS』も、会談決裂について北朝鮮よりは米国側の責任を強調する報道内容が目立った。 交渉が決裂した28日9時のメインニュースでは、米国が暴露した北朝鮮が秘匿する新しい核施設について触れず、「立場の違い」や「信頼問題」などを決裂の原因としながら、交渉を決裂させたトランプの交渉態度について、「いかにもトランプらしい」と皮肉った。

 3月1日のメインニュースでは、会談決裂について「米国が寧辺核以外の核施設を突然テーブル上に載せて北朝鮮が驚いたということだが、(米国の態度が)首脳会談の慣例と合わないという指摘が出ている」とも報じた。

 韓国大統領府も会談決裂後、米国より北朝鮮側に傾いた態度で、米国のマスコミから「北朝鮮の主張を支持している」という非難を浴びている。韓国の保守系日刊紙『文化日報』は6日、インターネット版の記事を通じ、「文大統領が3・1節の記念演説で金剛山観光と開城工業団地再開案を米国と協議すると明かしたことに対し、ポンペオ米長官が康京和外交部長官との通話で不満を表した」という外交筋の話を伝えた。同紙は、「米議会とメディア、専門家の間で広がっている『米韓不協和音』懸念が、ついに米政府の高官であるポンペオ長官の口からも出た」と説明した。そして、これは米国が文大統領の南北経済協力方針について反対の立場を明らかにしたものであり、「事実上の警告」と分析した。

 しかし、多くの韓国国民は文政権の南北経済協力方針やリベラル派政治家グループが主張する「会談決裂は米国の責任」と言う主張に共感を示している。会談決裂直後の3月1日から2日まで、『韓国社会世論研究所』が実施した世論調査では、「米朝首脳会談の合意決裂にもかかわらず、韓国政府が南北関係の進展のために南北経済協力事業を推進することについてどう思うか」という質問に対し、「賛成する」が64.9%で、「反対する(33.1%)」のほぼ2倍だった。

 米朝首脳会談の決裂について、「トランプ大統領と金正恩委員長のどちらがより責任が大きいか」を問う世論調査(『リサーチビュー』が実施、3月6日発表)では、「金正恩氏の責任が大きい」という意見が44%と高かったが、「トランプ氏の責任が大きい」という意見も37%にのぼった。特に、女性層と30代、40代はトランプ氏の責任が大きいと答えたほか、リベラル層では、トランプ氏の責任が大きいという意見が2倍ほど多かった。(金正恩27%VSトランプ53%)

 韓国政界はもちろん、韓国国民の間でも米国に対する不満や責任論が少なくないという点から、今回の米朝首脳会談の決裂で、韓国社会で反米世論が広がる恐れも出てきたと思われる。

朴英南 (ジャーナリスト 在ソウル)

最終更新:3/11(月) 12:40
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