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史上“例を見ない”トランプの非常事態宣言 米政治のドタバタは続く?

3/11(月) 7:30配信

THE PAGE

 アメリカのトランプ大統領が出した非常事態宣言が、アメリカ政界を揺るがしています。大統領選で公約に掲げた国境の壁建設のための予算をめぐり、トランプ氏が「強権」を発動した形です。大統領制を採り、三権分立が徹底されているアメリカにおいて、今回の非常事態宣言はどう受け止められているのか。今後、事態はどう収束していくのか。アメリカ政治に詳しい成蹊大学の西山隆行教授に寄稿してもらいました。

【図解】アメリカ式民主政治とは? アメリカ大統領と連邦議会の関係

連邦最高裁の判断が今後のカギ握る

 トランプ大統領は2月15日に非常事態宣言を発出した。非常事態宣言自体はアメリカ史上、時折出されているものの、今回の宣言の内容は例を見ないものであり、連邦最高裁判所がどのような判断をするかによって今後の行方は大きく変わってくるだろう。

 この非常事態宣言は、トランプ大統領が求めていた「国境の壁」建設の是非をめぐって発生した対立の結果である。トランプは、不法移民がアメリカとメキシコの国境地帯を越えて数多く流入し、ドラッグや強姦、人身売買など多くの犯罪をもたらしていると主張している。トランプはその事態を防ぐべく、アメリカとメキシコの国境地帯に壁を築くことを2016年大統領選の公約としており、以後一貫してその主張を続けている。だが民主党は、現在は国境地帯で大きな問題が発生しているわけではない以上、壁を建設する必要性はないと政権を批判している。

 壁建設の費用を認めるか否かをめぐって、トランプと民主党、そして大統領と連邦議会が対立した結果、昨年末から暫定予算が成立しない事態となり、連邦政府が1か月以上にわたり閉鎖したことは記憶に新しいだろう。

 連邦政府の閉鎖が長期に及ぶに至り、アメリカの世論もトランプに批判的になっていった。国境の壁建設の必要性を認めるトランプの「岩盤支持層」は依然として存在するものの、彼らの間でも政府閉鎖については批判的な声が強くなっているのである。

 アメリカでは毎年、連邦議会下院の招待を受けて、大統領が一般教書演説を行う慣例があるが、民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、政府閉鎖状態では十分な警護ができないことなどを根拠に、トランプに教書を演説ではなく書簡で提出するよう求めるなどした。それを受けてトランプが妥協し、連邦政府の閉鎖は解除されたが、トランプは一般教書演説でも壁の建設を主張し、暫定予算の成立後に、壁建設予算を確保するために非常事態宣言を行ったのである。

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最終更新:3/13(水) 17:22
THE PAGE

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