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惨敗レースに選手号泣 名門旭化成「MGCゼロ」から逆襲なるか

3/11(月) 10:50配信

西日本スポーツ

 ◆びわ湖毎日マラソン(10日・大津市皇子山陸上競技場発着=42・195キロ)

 宗兄弟や森下広一ら多くの五輪ランナーを生み、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)で3連覇中の旭化成勢が惨敗した。

【表】男子30人、女子14人/MGC有資格者一覧

 リオデジャネイロ五輪代表の佐々木悟ら3選手が出場したが、本田匠の31位がチーム最高で、佐々木は33位、市田宏は49位。最後のMGCシリーズで1人も出場権を取れず、市田宏は「すごく悔しくて…」と号泣した。

 チーム最年長のブレーキが始まりだった。22キロすぎ、先頭集団についていた佐々木が突然遅れだすと、本田と市田宏も先頭から離された。佐々木は昨年12月の福岡国際で失速の原因になったまめができたわけではなかった。

 「単純に力不足。前半は余裕を持っていたけど、急にきつくなってしまって…。福岡国際ではまめができて苦しんでもあのタイム(2時間11分40秒)だったのに」。2時間16分台でのゴールにぼうぜんとした。

 3人とも故障などによる調整不足が響いた。佐々木はまめの影響で1月中旬まで満足に練習できず、本田はもともと故障がち。2人が大会直前に調子を上げると、反比例するように市田宏がコンディションを崩した。それでも西政幸監督は「佐々木が22キロで離れていくのは予想外だった」と首をかしげる。

 今回に限らずMGCシリーズでは勝負どころの前での脱落が相次いだ。宗猛総監督は「全体的に練習量が落ちている。昔は練習を見て何分で走れるか予想できたけど、今は見えない」と危機感を募らせる。

 同じ九州を拠点とする長崎のMHPSは、旭化成出身だった児玉泰介前監督が長い距離を走り込むという旭化成の練習を持ち込んだ。2003年にバトンタッチした黒木純監督も現代に即した練習をしてはいるものの、ベースの部分は継いでいる。40キロ走や50キロ走を多くこなして地力をつけさせた結果、昨夏のジャカルタ・アジア大会王者の井上大仁ら3人がMGCの切符を手にした。

 西監督は走り込み不足を自覚した上で「選手自身がどう感じるかが大事。選手の意向を踏まえた上で、コーチたちで分析もしている」と説明。まずは選手自身の“気付き”が必要と捉えている。

 出場権を手にできない名門に、日本陸連の瀬古利彦リーダーは「イヒが入っていない」と、旭化成のCMで使われた言葉「イヒ(化の文字を分解)」と使って嘆く。MGCシリーズが始まる前、日本陸連が想定した男子の出場権獲得者は35~40人。実際は30人で「イヒの分が足りない」と寂しさを感じている。

 五輪への道が閉ざされたわけではない。4月末までにワイルドカード(国際陸連が世界記録を公認するレースで2時間8分30秒以内を出すか、2レースの平均が2時間11分以内)でMGCの権利を手にする可能性がある。村山謙太と深津卓也が4月末のハンブルク・マラソンに出場予定だ。昨夏のゴールドコースト・マラソンで2時間9分50秒の自己ベストを出した村山謙は、ハンブルクを2時間12分10秒以内で走ればOK。深津も2時間10分27秒以内ならワイルドカードで出場できる。

 MGCに出られなくても、MGCシリーズで完走した選手は今年の福岡国際、来年の東京、びわ湖毎日のタイム次第で五輪切符を得るチャンスがある。昨年の日本選手権1万メートル王者で、初マラソンだった今年2月の別府大分で完敗した大六野秀畝はこのルートでの五輪行きへと切り替えている。佐々木や市田孝、2時間9分39秒の自己記録を持つ丸山文裕らも続きそうだ。

 「課題を踏まえ、しっかりと地力をつけさせる」と西監督。東京五輪開幕まで12日でちょうど500日。屈辱を味わい、追い込まれた名門の逆襲劇を全国の陸上ファンは待っている。

西日本スポーツ

最終更新:3/11(月) 10:50
西日本スポーツ

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