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県内公的病院の策定進まず 災害時医療継続計画

3/11(月) 5:00配信

北日本新聞

■11施設のみ、被災状況の予測困難

 県内24の公的病院のうち、災害時に医療活動を続けるための業務継続計画(BCP)を持っているのは、46%に当たる11施設にとどまっている。国が今年3月までの策定を義務付けている災害拠点病院は8施設全てで策定が完了している一方、それ以外の16施設で策定済みなのは3施設だった。大規模な自然災害が相次ぐ中、住民の命を守る“とりで”となる病院の備えが急がれる。(社会部次長・室利枝)

 BCPは、8年前の東日本大震災後も整備がなかなか進まなかったが、熊本地震後の2017年3月、国が災害拠点病院に対し18年度中の策定を義務付けたのを受け、未策定の病院でも作業が加速。県内では8災害拠点病院のほか、3病院が既に策定した。

 県内の災害拠点病院の中で基幹と位置付けられる県立中央病院は、昨年9月に計画をまとめた。呉羽山断層帯で直下型地震が起き、電力は2日間、上下水道は5日間、都市ガスは1カ月間にわたって使用不能になった-などと想定。非常用電源は備蓄している重油で48時間は使用可能、受水槽の備蓄が尽きた場合は敷地内の井戸水を消毒して使う-など診療を続けるための具体的な対応を定めた。

 「例えば大量の傷病者が運ばれたとき、電力使用量が普段よりどれだけ増えるかなど、読めない部分もある」。策定事務を担った職員は計画作りの難しさを語る。経営管理課の金尾幸夫管財係長は「毎年の災害訓練で内容を検証し、現場の意見も取り入れながら、より実効性の高いものにしていきたい」と話す。

 昨年7月の西日本豪雨では広域かつ長期にわたる断水が発生。昨年9月の北海道地震では全域停電(ブラックアウト)という国内初の事態が起きた。相次ぐ災害への危機感から、災害拠点以外の県内公的病院でもBCPの検討が始まっている。ほとんどが19年度中の策定を目指すが、手探りの所も多い。県東部の病院の担当者は「病院ごとに立地や規模、機能が違う。実情に沿った内容にしなければならない」とし、県西部の病院からは「小規模な病院は人手も限られている」との声も漏れる。

 県は昨年11月、公的病院の担当者向けのBCP策定研修会を初めて開催。16施設が参加し、策定の手順などを学んだ。国は現在、民間も含む全国約8400の病院を対象に策定状況を調査中で、県医務課の中谷理理子医療政策班長は「公的病院以外も必要なノウハウを学べる研修の機会をつくりたい」としている。


◆業務継続計画(BCP)◆
 ライフラインの途絶で多くの病院が機能を失った東日本大震災を教訓に、国が整備を促してきた。震災以前の災害マニュアルは、主に災害時の初動対応を定めたもの。これに対し、BCPは病院自体が被災することを想定し、被害を最小限に抑えるための事前の備えや、病院機能を速やかに取り戻すための段取りなど、中長期的な対応も盛り込むのが特徴。

北日本新聞社

最終更新:3/11(月) 17:53
北日本新聞

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