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「押印制度見直し」法案、印鑑業界の要望で一部見送りに 驚くべき要望内容とは?

3/12(火) 11:40配信

THE PAGE

印鑑業界が法案に反発し、要望書を提出

 行政手続きのオンライン化を目指す「デジタル手続法案」をめぐり、法人を設立する際に必要な印鑑の義務化をなくす案が見送られました。印鑑業界が強く反発していることがその理由です。

 政府は行政のデジタル化を進めるため、2018年7月に「デジタル・ガバメント実行計画」を策定し、行政手続きのオンライン化などに向けた取り組みを開始しました。今国会にはデジタル手続法案が提出される予定となっており、同法には法人設立に際して印鑑の義務化をなくす案が盛り込まれていました。ところが自民党の部会ではこれが削除された形で了承され、押印の是非については今後の議論に委ねられることになりました。

 行政手続きのオンライン化に対しては、印鑑の製造事業者らで構成する全日本印章業協会などが要望書を提出していますが、その内容をめぐってネットではちょっとした騒動となっています。その理由は、要望書の中に「欧米のサイン制度と違い、代理決済(原文ママ)できるという印章の特長が、迅速な意思決定や決裁に繋がり・・」という驚くべき文言が入っていたからです。

 印鑑は原則として本人が押印するものですが、企業の現場では忙しい課長や部長に代わって部下が押印するというケースがよく見られます。しかしながら、こうした行為は本来、あってはならないことだというのは、多くの人が認識しているでしょう。印鑑という仕組みについて、他人でも押印できることを前提にしてしまうと、日本社会におけるあらゆる契約の大前提が音を立てて崩れてしまいます。

 印鑑が厳密な意味で本人確認にならないことは誰もが認識しているはずですが、あくまでも本人が押すという大前提を社会で共有しているからこそ印鑑の正当性が成立しています。ある種、踏み越えてはいけない領域に業界団体が言及してしまったことに多くの人が驚愕しているわけです。

 印鑑の重要性を強調したいあまり、漢字を間違えてしまったり、勇み足でタブーの領域に踏み込んでしまったものと思われますが、それだけデジタル化に対する危機感が大きいということでしょう。

国に売上補償を求める内容も

 同協会の焦りは政府に対する具体的な要望項目にも表れています。政府に対する要望は大きく分けて4つありますが、その中には、押印の見直しが実施された場合における「印章業界が被る被害に対する国の売上補償」という内容が含まれています。つまり印鑑が使われなくなった場合には、金銭的な対価が欲しいというものです。

 政府では夏の参院選後に再び押印の是非について議論する方針とも報道されていますが、技術の進歩で消滅していった職業すべてに補償していては、国の予算はいくらあっても足りません。政府がどのような対応をするのか注目です。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:3/12(火) 11:40
THE PAGE

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