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「極端な事例を一緒くたに」「すぐ原発推進か反対かの議論に」福島第一原発事故の低線量被曝をめぐるメディアの伝え方に苦言

3/12(火) 21:50配信

AbemaTIMES

 被曝により甲状腺がんに罹るなど身体的・精神的及び経済的損害を受けたとして、東日本大震災の発災直後に支援活動「トモダチ作戦」に参加していた米兵らが東電などを相手取り約1120億円の損害賠償を求めた訴訟で、米国の連邦裁判所が今月までに「審理する管轄と権限を有しない」として訴えを却下した。
 
 この問題をめぐっては小泉純一郎元総理が支援基金を設立するなどしているが、被曝の影響でがんになったと主張する兵士の割合が統計学上、自然にがんを発症する人の割合より少ないという指摘もあり、東京電力側も「米兵たちが受けた被曝量はごくわずかであって、健康被害を受けるほどではない」と主張してきた。

 11日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した東京工業大学の澤田哲生助教(原子核工学)は、「どういう環境でどういう被曝をしたかについての情報がないのではっきりとしたことは言えないが、通常は“被曝管理“といって、過剰な被曝をしないよう測定しながら作業にあたるはずだ。病気になるような量を浴びているとはちょっと思えない」と話す。

 また、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「福島第1原発の作業場にもたくさんの作業員がいたが、重篤な病気は一切報告されていない。それなのに、オペレーションに参加した兵士だけが病気になるというはバランスを欠いている気がする」と指摘。「大事なのは、実際にはどんな作業環境で何が行われ、どのくらい被曝したのかというデータをきちんと見た上で議論することだ。話が出てきた瞬間に“やっぱり被曝していたんだ!“と大騒ぎしたり、逆に“絶対に被曝なんてするわけない“と言うのはすごくバランスを欠いていると思う。やはりファクトをベースに話し合わないと、絶対に議論が噛み合わない」と話した。

 ノンフィクションライターの石戸諭氏は「低線量被曝の問題は、よく“はっきりとわからない“と説明される。自然に発生するがんなのか、それとも放射線由来なのかが分からず、議論があるというということ。議論があること自体は確かに大事なことだが、安易なワーディング、言葉の使い方が問題なんだという自覚がメディアにも欲しい。なぜなら、そうした扱い方をすることで、作業に関わった米軍だけでなく、甲状腺がんの検査を受けている福島の子どもたちにも同じようなことが起きるのではないかと考えてしまう人たちもたくさんいるからだ」と指摘した。

 放射性物質の総放出量はチェルノブイリ原発事故の約7分の1であって、福島の子どもたちの被ばく量についても、胎児に影響が発生すると考えられる放射線量の値よりもはるかに低く、甲状腺がんの発生頻度とも意味のある差は見られないとしている。

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最終更新:3/12(火) 21:50
AbemaTIMES

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