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社説[ドローン禁止法改正案]住民の権利は守れない

3/12(火) 8:45配信

沖縄タイムス

 政府はドローン禁止法(小型無人機等飛行禁止法)改正案を今国会に提出する。

 2020年東京五輪などのテロ対策として、大会期間中、取材メディアなどを除き、会場上空のドローン飛行を禁止する。

 この法改正にはもう一つの狙いがある。

 16年3月に制定されたドローン禁止法は、原子力発電所や国会議事堂、総理官邸など重要施設上空の飛行を禁じた。

 改正案は新たに、米軍基地、自衛隊基地上空やその周囲「おおむね300メートル」上空を飛行禁止区域に加えている。

 なぜ、それが問題なのか。 基地の運用に関しては、日米合同委員会という「密室」で合意されるため、情報が開示されないケースが多い。

 その上、基地取材に対する規制が今以上に強化されれば、住民は自分たちの生活を脅かす重要な問題であるにもかかわらず、必要な情報を得ることができなくなる。

 日本新聞協会編集委員会は「取材活動を大きく制限し、国民の知る権利を著しく侵害する」と指摘し、拙速な立法化を避けるよう政府に申し入れた。

 米本国の海兵隊基地や本土の自衛隊演習場と比べ、沖縄本島はあまりにも狭く、基地と住民地域の間の「緩衝地帯」はないに等しい。

 「おおむね300メートル」という広い飛行禁止区域を設けると、ただでさえ困難な基地へのアクセスがますます制約を受け、米軍基地で「何が起きているか」を知ることさえ難しくなる。

 ■ ■

 13年8月、宜野座村のキャンプ・ハンセンで、米軍の救難ヘリの墜落、炎上事故が起きた。

 村は現場に近い大川ダムからの取水を停止した。県による土壌調査が認められたのは、事故から7カ月後のことである。

 名護市辺野古の新基地建設に向け日米合同委員会は14年、臨時制限区域の設定に合意した。県は同区域への立ち入り潜水調査を求めたが、半年もの間、恣意(しい)的な判断で断られ続けた。

 自治体は事件事故が起きても、地位協定に基づく基地管理権に阻まれ、迅速に立ち入り調査を実施することができない。

 航空法は「最低安全高度」などの安全のための規定を設けているが、特例法によって米軍には航空法の安全規定が適用されない。

 ドローン禁止法改正案が沖縄にとってどういう意味を持つかは、地位協定の運用実態の中で考える必要がある。

 ■ ■

 政府は、基地政策に関する「情報開示」を渋ってきただけでなく、政策決定の「説明責任」も怠ってきた。

 名護市辺野古の新基地建設が典型的だが、「知らしむべからず」「よらしむべし」という行政手法を取り続けてきたのである。

 ドローン禁止法改正案は、基地運用に対する住民の知る権利を制限し、憲法が保障する表現の自由にも抵触しかねない要素を持つ。

 広範囲に投網を打つような規制を見直すべきだ。

最終更新:3/12(火) 8:45
沖縄タイムス

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