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バックグラウンドで随時認証セキュリティーを実現

3/13(水) 6:00配信

アスキー

NTTデータが主催する「第9回 豊洲の港から presents グローバルオープンイノベーションコンテスト東京選考会」が12月12日に行なわれ、3月14日に開かれるグランドフィナーレに選出されたのは、株式会社AnchorZの「DZ Security」だった。

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 NTTデータが主催する「第9回 豊洲の港から presents グローバルオープンイノベーションコンテスト東京選考会」が2018年12月12日に行なわれ、2019年3月14日に開かれるグランドフィナーレに選出された日本を代表するベンチャー企業のサービスは、AnchorZの「DZ Security」だ。
 
 2018年12月から、3か月にわたり世界20都市で選考会が行なわれたコンテストは、各都市で選出された企業がグランドフィナーレに集結。そこで最優秀賞を獲得すると、約3ヵ月間、受賞案件に関するビジネス化検討のフルサポートを提供。サポートコンサルチームを組成し、協業モデルが固まって投資が必要であれば準備してくれる。
 
 また、JINおよび国連開発計画(UNDP)が共同展開するSDGs Holistic Innovation Platform(SHIP)のオープンイベントでのピッチ権利が与えられる「SDGs賞」も用意されている。
 
 この日行なわれた東京選考会では、事前審査により11社に絞り込まれ、各社7分のピッチで自社製品をアピール。外部審査員4名と内部審査員9名が審査をし、最終的に優勝企業と審査員特別賞、SDGs賞、そしてNTTデータ イノベーション推進部 オープンイノベーション事業創発室 室長の残間 光太朗氏による残間賞が選ばれた。
 
 今回は受賞した企業を中心に紹介する。
 
優勝企業 株式会社AnchorZ
セキュリティーの常識を変革する「DZ Security」
 今回、NTTデータとのシナジーを決める内部審査員9人のうち、5人も手が上がったのが、株式会社AnchorZの「DZ Security」だ。優勝にふさわしいイノベーティブな技術となっている。
 
 「われわれの夢は、デジタルの世界においても、これは危ない、これは危なくないといったことを考えなくて済む世界を造ること」と代表取締役CEOの徳山 真旭(まさあき)氏が語るように、この技術は誰にでも使える最適な認証を目指したものだ。
 
 これからのキャッシュレス時代、ITリテラシーの高い人たちだけが利用できるようなセキュリティー対策ではダメ。そこでAnchorZは、ユーザーが認証するということを意識しないで済む技術「DZ Authentication」を開発。バックグラウンドで顔や虹彩、指紋などといった認証を随時行なうため、ユーザーにとっては安全でかつノーストレスで利用できるのが特徴だ。
 
 たとえば、スマホの認証を通ってしまえば、ほとんどの人がアプリにIDとパスワードを覚えさせているため、誰でも使えてしまうだろう。しかし、「DZ Authentication」なら、随時バックグラウンドで認証しているため、アプリに覚えさせておくのではなく、随時認証して個人識別されるため、本人のアカウントでアプリが利用できるようになる。
 
 「DZ Security」には、クラウドへ個別パスワードで分散保存「DZ File Distribution」という技術も含まれる。これは、1つのファイルを異なる会社のクラウドサービスに分散して保存できるというもの。分散されたファイルには別々のパスワードが設定され、もしアクセスしたときに本人だと認識されればすぐに戻せるため、セキュリティー的に高くしかもユーザー側はそのことを意識する必要がない。この技術はすでに日本とアメリカ、中国で特許取得済みだ。
 
 すでに商品化の話もきているそうで、徳山氏は「われわれはローレベル技術が得意な会社。いろんな企業に採用していただかないと世の中の役に立てないので、みなさんと一緒にデジタルソリューションを提供できれば」と語った。
 
審査員特別賞 グローバルウォーカーズ株式会社
AIのためのデータ工場「Annotation One」プラットフォーム
 AIの市場規模は右肩上がりに成長している。ドイツの予測によると、2020年に約2兆円、2025年には約11兆円になるとしている。そんなAIだが、適格に利用するためには、機械学習(ディープラーニング)が必要になってくる。
 
 AIを教育するには教師データで学習させ、再学習によってしつけをしていく感じで、精度を上げていく必要がある。そのためには、人間が間違っていることを正さなければならず、その作業は非常に面倒なものである。
 
 さらに、学習させるための教師データを作る必要もある。しかし、データの必要量や作り方がわからなかったり、作るためのリソース不足、さらにコストも上がってきているという課題を抱えている。
 
 そこで、グローバルウォーカーズは「Annotation One」というサービスを提供している。ミャンマーにAIデータ工場があり、データ作成と運用を行なっている。人材は現地採用し、専門訓練をすることで日本品質を担保しているとのことだ。
 
 教師データ作りには膨大な時間がかかる。たとえば画像に矩形付与するだけでも人間が作業すると1矩形1分かかるとしたら、100万枚処理するには520人月も必要となる。さらに複雑な領域分割だと1枚に60分かかったら、100万枚処理するのに6250人月必要になってしまう。同時に品質も担保しなければならない。AIにどう判断すべきなのか、正しくしつけなければならず、非常に面倒な作業になってくる。
 
 この教師データ作りがAIの決め手になるため、非常に重要だ。それを「Annotation One」なら、高品質で高セキュリティーを確保し、それでいて迅速で安価で実現するのが特徴である。また、教師データの再学習こそが継続性のあるビジネスとして活きてくるとしている。
 
 より拡大しグローバル展開していくとともに、ブランド力と知名度の向上を図りたい代表取締役社長CEO 森川和正氏は「AIはカッコいいことをいっても、エコシステムの中で、人間が介在しなければならないことが必然的にあります。AIの学習内容を精査することはどうしても必要で、そういった面倒なことを誰がやるのかが課題。われわれはAIのデータに対するフォックスコンになりたいと思っている」と語っていた。
 
SDGs賞 株式会社MUSCA
イエバエを使った究極の循環システム
 株式会社MUSCA(ムスカ)は、イエバエを使って100%バイオマスリサイクルシステムを実現しようとしている企業だ。ムスカという社名は、天空の城ラピュタからきたのではなく、イエバエの英語名「Musca domestica」が由来である。
 
 ムスカは、45年かけて1100世代選別交配された、イエバエの種を保有している。普通のイエバエに比べ、成長速度が速く、高密度で飼っても死ににくく、大量に卵を産卵するのが特徴で、この卵を生ゴミや畜産糞尿にまき1週間放置。すると大きくなった幼虫と幼虫の排泄物が発生する。幼虫は動物性蛋白質飼料として、排泄物は有機肥料となるため、畜産業や養殖業、農作物栽培に使われ、食の確保や天然資源の枯渇を防ぐことが可能となる。
 
 従来、畜産糞尿を堆肥化するのに2ヵ月~3ヵ月かかっていたものが、わずか1週間でできるため、非常に生産効率がよく、しかも畜産糞尿はお金をもらって引き取る厄介もの。生成された幼虫は飼料会社へ、幼虫排泄物は肥料会社へ販売するため、入口も出口も収入源というおいしい事業なのだ。
 
 現在、畜産糞尿を処理するには、日本国内3000以上、海外を含めると20万以上の工場が必要だという。有機廃棄物を1日100トン処理するプラントを大量に作る必要があり、3月には初の工場が着工予定。そのための資金調達をしている状況だ。
 
 プラントは、ほぼフルオートで、モニタリングやロジスティクスの構築、さらにITを活用させて、受給システムの予測や農業生産の効率化も一緒にできないか、協力してくれる企業を探している。
 
 代表取締役暫定CEOの流郷 綾乃(りゅうごう あやの)氏は、「わが社はSDGsの申し子のような会社です。17項目中14項目を達成しいて、ムスカのプラントが増えることで、地球全体が抱えている社会課題や環境問題を解決できると思っています。SDGsは、日本の大手企業が取り組まなければならないことです。サステナビリティを広げていかないと、地球がかなりしんどい状態になっています。みなさんと一緒になって解決に向けて、SDGsを広げていき、子供たちの未来を守っていければありがたいです」と語った。
 
残間賞 ノバルス株式会社
乾電池型IoT「MaBeee」を使ったものづくり
 クラウドファンディングで「MaBeee」を成功させ、乾電池に通信機能を内蔵させるという革命を起こしたノバルス株式会社。IoT開発で難易度の高い通信モジュールや電池ユニットをMaBeeeで代用することで、低コスト、量産化が簡単になる。高齢者の見守りや工場でのセンサー情報取得など、さまざまな分野で活用できるだろう。今後、遠隔充電を可能にし、コンセント不要の世界を目指している。
 
残間賞 株式会社スマートプラス
BaaSで証券サービスの多様化を加速化させる
 国も推進する「貯蓄から投資へ」がなかなか進まない。その原因は、多様な金融サービスがないこと。そこでスマートプラスでは、証券参入のプラットフォームを提供し参入ハードルを低くしようとしている。具体的には、執行機能APIを金融機関意外で証券サービスに参入したい企業に提供していこうとしている。
 
 すでに「STREAM」というアプリでは、従来型手数料0円、株取引とコミュニティを組み合わせ、最初の画面もタイムライン表示というこれまでにないサービスを提供している。このように、ベースとなる基盤はAPIに任せ、フロントサービス部分の開発に注力することで、多様なサービス展開を期待している。
 
残間賞 Pikcio AG
コンプライアンスに準拠した個人情報の管理・提供プラットフォーム
 ECサイトなどで、お客さんがいま購入したいものを提供するには、個人のデータが必要になってくる。しかし、それにはお客さんの同意が必要だ。Pikcio AGは、お客さんのクレジットカードの使用状況によって、いろいろなサービスを提供するCard Linked Offer(CLO)というプラットフォームを構築。
 
 これによりコンプライアンスが守られた状態で事業者側はデータを使うことができるため、お客さんの行動によって、さまざまなポイントシステムを提案できる。すでにNTTデータには、個人情報を収集する仕組みがあり、そこにAPIを被せることで、強力なシステムを実現したいと考えている。
 
残間賞 株式会社ヒナタデザイン
サイズと購買データを活用した商品リコメンドサービス
 ものの“サイズ”感がわかる「scale post viewer AR」を提供。ネットで商品を買う際に、どんなサイズか数値を見てもわかりにくい。それをARによって“見える化”することで、商品購入する際の指針となる。
 
 たとえば、部屋に家具を置いてみたり、服を着てみたり、メガネを掛けたりということを簡単にAR実現でき、すでにビックカメラの商品カタログに実装させている。ECショップで活用すれば、返品率を下げコスト低減にもつながる。さらに、チャットで顧客の要望を聞き、購買商法と趣味嗜好とを組み合わせてライフスタイルをリコメンドしていきたいとしている。
 
 残念ながら賞に選ばれなかった企業も、NTTデータとのシナジーを決める内部審査員からそれぞれ手が上がっていたので、今後の活躍に期待したい。
 
■エーテンラボ株式会社/A10 Lab Inc.
生活習慣病治療アプリ「Habitoon」
 
■Origin Wireless Japan 株式会社
センサーレスIoT(TRM=wirelessAI)が世界を変える
 
■InsureVite Private Limited
保険業界を支えるRPAソリューション
 
■株式会社ウエルストーン
バーチャルECプラットフォーム
 
 審査を終えて、審査委員長の名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 山本 修一郎教授が今回を総括した。
 
 「審査員特別賞のグローバルウォーカーズは、いちばん面倒くさいところを解決しようとしているところが良かったですね。本当のイノベーションを起こすには、みんなが困っていて解決ができないところへ、ソリューションを提供すること。パズルの最後のワンピースがカチッとハマるというところにチャレンジしていて感心しました。ほかの皆さんも、エンドユーザーが困っていることを、どのように解決するか。そういうソリューションに一歩でも二歩でも近づいてほしいと思います。そうすれば、ビジネスで世界中の人達が幸せになるのではないでしょうか」と語り、さらに研鑽を積んで大きなイノベーションになることを期待していた。
 
 
文● 飯島範久 編集●ガチ鈴木/ASCII STARTUP

最終更新:3/13(水) 6:00
アスキー

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