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認知症の祖母が寝たきりから復活 実感した医者や病院の選び方の大切さ

3/13(水) 14:30配信

デイリースポーツ

 30歳過ぎから認知症の祖母を6年ほど介護してきましたが、症状の進行とともに在宅でみるのが難しくなり、2018年11月末、87歳になる祖母の老人健康保健施設(老健)への入所を決めました。入所すぐにほかの利用者に暴言を吐くなどの粗暴行為が見られ、薬を多量に処方されて寝たきりになりましたが、その後精神病院に転院すると、祖母は急性期病棟で奇跡的に復活しました。その背景には、薬を極力使用せずADL(日常生活動作)を維持しようとする医者や病院との出会いがありました。認知症の医者や病院の選び方の参考になればと思います。

■薬を多量も処方され…寝たきりに

 祖母の老健での粗暴行為は入所2日目に発現しました。入所者が集まりテレビをみたり食事を食べたりするデイルームという場所がありますが、祖母はデイルームで利用者に対し「あんた何ボーッっとしてんの、仕事しないなら出て行きなさい」と怒り、食器を数枚投げつけました。さらに、夜間から早朝にかけて急に「ここはどこなの?私を帰らせて」と大声で泣き、看護師が「大丈夫、大丈夫」と説得しましたがおさまりません。これらの行為が連日続き、筆者は老健の主治医から「ほかの利用者に迷惑です。認知症が進行しているので、精神病院で治療してください」と告げられました。そして、抗認知症薬、3種類の精神安定剤、2種類の睡眠薬、鎮静剤の投与も始まりました。

 翌日心配だったので面会へ行くと、1点をみつめ、口をぼーっと空けた祖母がいました。筆者は急いで老健のケアマネージャー、役所、地域包括センター、在宅介護時にお世話になったケアマネージャーと相談し、ある精神病院へ面会・見学へ行ったのです。

■祖母への思いを汲み取ってくれた医者と病院

 精神病院へ行くと主治医から「ご家族様が望まれる治療方針を聞かせてください」と聞かれたので、筆者は「無理は承知ですが、極力薬を使用しない治療を希望しています」と答えました。すると、主治医は「私も薬を多く使うのは疑問を持っています」と言ってくれたので、筆者は「家で祖母をみていて、薬を使ってない時が一番人間らしい姿と思いまして」と祖母への思いをストレートに伝えてみました。

 すると、主治医は筆者に「お気持ち分かります、薬を抜いて様子みましょう。薬を使用する場合は連絡しますね」と笑顔で優しく丁寧に説明してくれました。祖母がADLを維持するのにベストな治療方法を選択してくれ、家族の意向も最大限に汲み取ってくれる医者だと思い、入院の手続きをしました。そして、筆者が週1~2回面会へ行くたびに祖母はみるみる元気になっていきます。

 カロリー維持のために食後のデザートとして毎食出ていたハイカロリーゼリーが食事量の増加とともになくなり、話すことや笑顔も格段に増えました。この病院は主治医だけでなく病院の看護師や介護士の対応も感心の連続です。例えば、祖母が突然泣く時には看護師や介護士が「よしよし」と全身で抱きしめたりします。また、部屋から風呂まで歩かせたり、食事を自力で摂取させたりする時もあります。主治医、看護師、介護士など端々に祖母のADLを維持しようというプロ意識を感じました。

 とはいえ、老健と精神病院の急性期病棟は力を入れている部分が異なり、単純に比較はできません。老健は介護施設で、病院とは違います。施設により若干変わりますが、公的な施設で他の施設より月々の利用料が安い分、職員の人数が限られ、ハイレベルなケアや食事を求めるのは難しくなります。ただ、専門の理学療法士や作業療法士による1日20分週3回ほどリハビリがあったり、病院が併設され診察代が月々の利用料に含まれたりなどのメリットもあります。一方、精神病院の急性期病棟は施設にもよるでしょうが、月々の利用料が老健に比べ高いです。利用者数に対する看護士や介護士の人数も充実しており、ケアに力を入れられたり、バリエーションが豊富な食事が提供されたり、レクリエーションも活発です。ただメリットばかりではなく、精神病を抱えたさまざまな患者がいるため、監視体制下の中、症状によっては身体拘束があったり、許可なく外出できなかったりなど、閉鎖的な空間なことは否めません。

  ◇  ◇

 いずれにせよ、老健と精神病院の急性期病棟という特性の違いがあるとはいえ、ケアに力を入れる主治医や病院との出会いが祖母を回復させることを知りました。筆者のように本人に一日でも人間らしく元気にすごしてほしいと思って介護されている方が大半だと思います。そのような方々に薬は最小限の使用、患者や家族の思いに最大限寄り添い、ADLを維持するリハビリなどを積極的にする医者や病院を選ぶことをオススメします。介護士や看護士の不足で、多量な薬を投薬せざるを得ない施設や病院側の事情には最大限配慮しつつ、本人への思いをぶつけてみてください、きっと伝わることがあると思います。(神戸新聞特約記者・奥村シンゴ)

最終更新:3/13(水) 15:47
デイリースポーツ

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