ここから本文です

透析中止・夫が手記…亡き妻は「撤回したい」「先生と会えない」と話した

3/13(水) 20:33配信

毎日新聞

 「もう二度と起こってほしくない」。公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題で、治療を中止して亡くなった腎臓病患者の女性(当時44歳)の夫(51)が毎日新聞に手記を寄せた。一度は選んだ「死」を前にためらい、揺れ動いた夫妻の姿が浮かび上がる。

【昨年8月に亡くなった女性が夫に送った最後のメール】

 「(透析を)やめれば1週間の命です」。A4判2枚の手記によると、妻は昨年8月9日、病院の外科医(50)から透析をやめる選択肢を示され、意思確認書に署名した。「妻の気持ちは揺れるばかりで、なかなか入院しようとしなかった」という。14日、入院。「『死ぬための入院』だなんて誰が想像し得たでしょうか」

 亡くなる前日の15日、夫は妻の車椅子を押し、病院近くのスーパーマーケットで妻のためにタオルなどを買った。夕方、妻は「離脱(透析中止)を撤回できるならしたい」と夫に告げた。「担当の先生とはなかなか会えない」とも話した。その夜、夫は急な胃病のため同じ病院で緊急手術を受けた。そして16日――。麻酔から覚めると急いで妻の病室に駆けつけたが、間に合わなかった。見開いた目。半開きの口。「苦しんでいたのかな。安らかだったのであれば、静かに眠るような感じのはず」。半年以上過ぎた今も、その最期に思いを巡らせる。

 病と向き合う姿を見守ってきた。「時間が拘束され、つらかったとは思う。針も痛いようだった。周囲に迷惑をかけたくなかったのかもしれない」。一方で「生きたいという思いを持って何とか透析に通っていた。透析離脱の選択肢が示されなければ、今も生きていてくれたと思う」。

 病院に対し、夫は「怒りの気持ちはない」という。ただ、「医者なのだから、一人一人の命を預かっているのだから、患者に寄り添って生かしてほしい」と心情を吐露。「本当は(治療中止を)勧めない方がいいのではないか」とつづった。

 妻とは30年間、付き合った。一緒にいるのが当たり前だった。透析患者やその家族には1人の遺族として、こう伝えたいという。「生きることは難しいことだが、生きていてほしい」【梅田啓祐、矢澤秀範】

最終更新:3/13(水) 20:45
毎日新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事