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少年刑務所で「先生」をしていた女性が気づいた“少年たちの胸の内”

3/13(水) 17:50配信

MBSニュース

2021年に全国初の「監獄ホテル」として生まれ変わる旧奈良少年刑務所(2017年廃止)で、「矯正教育」の講師を務めていた作家・寮美千子さん。最初は“どんな少年たち”がいるのか不安だったそうですが、詩を書いてもらう教育を通じて知った“少年たちの胸の内”を知ってほしいと1冊の本にまとめました。

ある受刑者の俳句の出会い

西靖アナウンサーが訪ねたのは、おととし3月に廃止された「奈良少年刑務所」。そこで待ち合わせたのは、作家の寮美千子さん(63)です。

「『明治生まれの名レンガ建築を一度中を覗いてみたい』と、そういう気持ちでここに来たのが始まりでした」(寮美千子さん)

今から13年前、この建物に惹かれ受刑者の作品などを展示する矯正展に訪れた寮さんは、ある受刑者の「俳句」に出会いました。

「すごく繊細な作品があった。『振り返り また振り返る 遠花火』『夏祭り 胸の高まり 懐かしむ』乱暴もので何考えているか手に負えない…モンスターみたいな人がいるんじゃないかと思ったら、全然違う作品がそこにある」(作家 寮美千子さん)

そして、刑務所の教育官に何気なく「作家なんです」と伝えたところ、「受刑者の先生になってもらえないか」と頼まれたのです。しかし、やはり気になったのが“どんな少年たち”がいるのか、ということでした。

「どんな罪の人が来ているのかと聞いたら、『そうですね、強盗、殺人、レイプ、放火、詐欺、覚醒剤とかです』。怖すぎるから腰がひけちゃったの」(寮美千子さん)

「人生のなかで拍手なんかもらったことない子なんです」

しかし、受刑者たちをまるで自分の子どものように心配する教育統括の話に心を打たれ、寮さんは先生役を引き受けることにしました。そうして始まったのが、2007年から9年間、刑務所が廃止される前まで行われていた「社会性涵養(かんよう)プログラム」です。参加するのは、コミュニケーションが苦手な受刑者たち。半年間で18回の授業を受け、文学や絵画などを通して自己表現力をつけることを目指します。

「コミュニケーションができなくて、犯罪に追い込まれているケースが多い。困っているのに助けを求められないから強盗してしまうとかね。彼らがやっぱり、人生ちゃんとやっていけないと、また犯罪になる、再犯に。未来の被害者を防ぐためには、ここで彼らが社会とうまくやっていける方法を学ばないといけない」(寮美千子さん)

作家である寮さんの担当は文学。授業の内容や方法はすべて一任されていて、まずは本の朗読と演劇からはじめました。本を読んで拍手をもらう、演劇で主役を演じる。受刑者にとっては、これが特別な体験でした。

「人生のなかで拍手なんかもらったことない子なんです。学芸会で主役なんかやったことない子なんです。自己否定感に満ちているんだけど、人から拍手もらったとたん、小さな自己肯定感の芽がぴっと芽生える」(寮美千子さん)

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最終更新:3/14(木) 14:39
MBSニュース

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