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高級注文住宅メーカーの倒産、駒沢や渋谷の展示場投資が重荷に

3/13(水) 11:24配信

ニュースイッチ

ウィズ・ワン、財産管理のずさんさ露呈

 ウィズ・ワンは、2004年5月に設立。当初は広告代理業だったが、その後、建築請負部門を設置。こだわりを持った富裕者層を顧客に、高品質な木造3階建(在来、2×4)を中心とした高級注文住宅を手がける独立系ハウスメーカーとして、自然素材という独自のコンセプトが好評を得て知名度が拡大した。

 ターゲットとなる顧客層への訴求性を高めるために、都内城南地区にある駒沢展示場や渋谷などに戸建モデルハウスを展開し横浜などへも事業エリアを拡大。都内5カ所の展示場での集客が伸長した17年3月期には、年売上高約32億6100万円を計上していた。

 しかし、一方で展示場への先行投資に対して受注の進捗(しんちょく)は芳しくなく、借入金の増大を招いていた。近時は都内のモデルハウスを閉鎖するなど業容は縮小傾向にあり、18年3月期の年売上高は約28億2400万円に減少していた。

 過剰債務となるなかで、人件費や資材価格の高騰などもあり、急速に資金繰りが逼迫(ひっぱく)。工事代金の入金遅れなどの突発的な事象に対応できるだけの柔軟性を欠き、取引先への支払いにも支障を来す事態に陥った。最終的に1月30日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。

 16年時点で約10億6200万円だった金融債務は2年間で約1・7倍の約17億4100万円に急増しており、キャッシュフローもマイナスを示していた。申立書によれば、資産計上されていた完成工事未収入金や未成工事支出金のうち相応の部分は実態がない可能性があり、実質的には債務超過であったとしている。

 同社の手がける注文住宅のデザイン性や、価格より質を優先する経営姿勢は十分評価されていたものの、資金繰り計画や財産管理の杜撰(ずさん)さが今回の倒産を招いたと言えるだろう。単価が高い商材を扱う分、財務面の柔軟性には常に気を配らなければならない。

(帝国データバンク情報部)

最終更新:3/13(水) 12:02
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