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ピエール瀧逮捕の波紋 出演作が次々と配信停止も「自粛」の風潮に異論

3/14(木) 16:31配信

東スポWeb

 ミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)容疑者(51)が、コカインを使用したとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕された“ピエールショック”は、拡大の一途をたどっている。出演している作品が続々と配信停止となり、被害額は計り知れない規模に膨れ上がっている。特に大きな影響を受けたのが、4月5日の公開が迫った映画「麻雀放浪記2020」(斎藤工主演)だ。公開中止が危ぶまれる中で、映画界からは「絶対に公開中止にしてはならない」との声が上がっている。いったいなぜなのか? それは――。

 業界中が大パニックだ。ソニー・ミュージックレーベルズは13日、瀧容疑者や所属バンド「電気グルーヴ」のCDや映像商品の出荷停止と店頭在庫回収を発表した。電気グルーヴは結成30周年のツアー中で、15、16日の東京公演は中止になった。

 NHKは瀧容疑者が出演している大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の放送を次回以降も継続し、今後の出演場面は「対応を検討中」とした。次回17日放送分に出演場面はないという。一方で、放送済みの番組を有料配信する「NHKオンデマンド」では、出演番組の配信を当面停止する。番組ホームページから写真も削除された。ウォルト・ディズニー・ジャパンは大ヒットアニメ映画「アナと雪の女王」の雪だるまキャラクター、オラフの日本語吹き替え声優を瀧容疑者から交代。続編が11月に日米同時公開される。

 ほかにもテレビレギュラー番組やCMの放送休止が立て続けに決まった。出演映画も「麻雀放浪記2020」、「居眠り磐音」(5月17日)と新作公開が控えている。各配給会社は「対応を検討する」とした。

 特に難しいかじ取りを迫られているのが、公開まで1か月を切った「麻雀放浪記2020」だ。小説家の阿佐田哲也氏の麻雀小説を原作に、白石和彌監督が大胆にアレンジした作品。2020年に戦争により、東京五輪が中止となったという舞台設定で、瀧容疑者は東京五輪組織委員会会長役で出演している。

 麻雀議連に所属する国会議員限定で試写が行われたが「その『東京五輪が中止』という設定にクレームがついたという触れ込みだった」とある映画関係者。そのため、瀧容疑者逮捕というニュースが流れた際には映画関係者の間で「映画を潰すための国策逮捕ではないか」との噂が流れたほどだった。

 そんないわくつきの映画の予定通り公開か否かについては検討段階で、これまでの流れからすると、公開中止となる可能性の方が大きい。だが、映画業界からは「絶対に公開すべき!」との声が上がっているという。

 その理由について「業界では『作品に罪があるのか』という点が大きな議論となってます」と、ある映画プロデューサーはこう切り出す。

「犯罪が起きて、なんでも自粛、自粛じゃ、表現の自由も守られない。また、現実問題として経済的にも大きな損失が出る。今回のケースでいえば、(総額)10億円以上とも推測される負債を瀧容疑者や所属事務所からすべて回収できるのか」

 似たようなケースでいえば、新井浩文被告が強制性交容疑で逮捕された際も、公開中止や延期が相次いだ。ある映画宣伝会社関係者は「ケース・バイ・ケースで考えてもよいのではないか」とした上で、こう続ける。

「新井被告と違い、瀧容疑者の事件に被害者はいない。苦しむのは瀧容疑者本人。そういうケースであれば映画は公開し、その収益の一部を薬物依存症で苦しむ人たちへの施設に寄付するとか、薬物の怖さを伝える啓蒙活動にお金を回してもいいのでは。映画は表現活動。それが日の目を見ないということは文化衰退につながる。だから、単に中止という選択肢でなく、ほかの方法を考える時期にあると思う」

 もちろん、違法薬物に手を出した瀧容疑者が批判を免れることはできないが、作品には瀧容疑者以外の多くの人間が関わっているのも事実。「麻雀放浪記――」は自粛ムードを打ち破る先駆けとなるか。

最終更新:3/14(木) 16:37
東スポWeb

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