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3月末「危機」英国回避も 混迷深まる「問題先送り」

3/14(木) 20:06配信

産経新聞

 【ロンドン=岡部伸】英下院が13日、経済活動や社会に混乱をもたらしかねない「合意なき離脱」を退けたことで、3月29日の離脱期日が延期される可能性が高まり、「危機」はひとまず回避されるとみられている。しかし、延期の期間はなお不明で、欧州連合(EU)も離脱協定案の修正に応じないとしている。合意なき離脱を回避する道筋が付かないまま時間を稼ぐ「問題先送り」では混迷が深まる一方だ。

 合意なき離脱の回避は英議会の「意思」となったとはいえ、278票もの支持が集まった背景には、与党・保守党内にEUと関係を絶って、「主権の回復」を目指しているジョンソン前外相、リースモグ議員ら強硬離脱派の存在がある。同派は合意なき離脱による経済的な悪影響が過大評価されていると指摘。12日の離脱協定案の採決でもメイ首相に反旗を翻した。

 しかし、強硬離脱派の一部は14日の離脱延期に関する採決では、政府の方針を認める見通しだ。

 ただ、延期にはEU27加盟国の承認が必要なため、英政府が検討する6月末の離脱の実現は見通せていないのが実情だ。

 EU側はメイ首相に「離脱撤回や2度目の国民投票実施など理由を明示する必要がある」(バルニエEU首席交渉官)と求めている。また、英国が5月に実施される欧州議会選を求められる可能性も消えていない。EUにとっては、同議会選を前に、英国が離脱に関して明確な意思を示すことが必須となる。

 たとえ離脱延期がEUに認められたとしても、離脱協定案について、フランスのマクロン大統領が「(EUと再び)交渉することはできない」とくぎを刺すなど、EU側の態度は硬く、譲歩を引き出すのは困難。また、離脱期日の延期後に下院が離脱協定案を承認する見通しも立っておらず、「合意なき離脱」への懸念はなお消えていない。

 混乱が長期化していることでメイ氏の求心力は低下し、今後、退陣論が強まる可能性もある。ただ、代わりに難局を打開できる指導者は見当たらず、混迷は危険水域に達している。

最終更新:3/14(木) 20:06
産経新聞

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