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ブリ輸出額が過去最高 でも遠いサーモンの背中 研究開発に差

3/14(木) 11:00配信

みなと新聞

 日本の水産物輸出をけん引する養殖ブリ。さらなる増加の鍵を握るといわれるのが人工種苗(人工的に育てた稚魚)の導入だ。天然資源に影響を与えず環境に優しい、稚魚から親魚までの履歴が分かり安全との理由で海外のニーズが高まっている。選抜育種(優良な個体同士を交配し、より優れた家系をつくること)ができる点にも大きなメリットがある。研究開発の最前線を探った。

輸出額10年で4倍以上に

 「輸出の伸びは以前より緩やかになっている。これからは第二段階として、販売戦略を見直す時期に来ているのでは」。2月中旬、鹿児島市内であった全国海水養殖シンポジウム。パネリストとして登壇したブリ養殖業者、福山養殖(鹿児島県霧島市)の小林松三郎代表が訴えた。

 ブリは日本の水産物輸出額でホタテガイ、真珠、サバに次ぐ第4位の重要品目。国を挙げて輸出促進に取り組んだ結果、ここ10年で4倍以上に伸びた=グラフ参照。しかし、2018年の伸び率は数量9000トンで前年比0・2%増、金額158億円で2%増。実績は過去最高を更新したものの、思ったよりも伸びなかったというのが生産者の本音のようだ。

 多いときで育てたブリの8~9割を米国に出荷するという小林代表。今後の輸出促進策の一つに挙げたのが人工種苗の導入だ。「環境を守る観点から人工種苗由来のブリの需要は高まっている」。

季節外れ“夏のブリ”も可能に

 現状のブリ養殖で使われる種苗の大半は天然魚のモジャコ。春になると東シナ海から鹿児島海域に来遊するのを各地の漁業者が漁獲する。養殖業者はこれを買い取り、イケスで養殖。5キロ以上のサイズになる翌年秋冬に出荷するのが通例だ。ただモジャコは年によって好不漁があり、入手時期も春に限られる。不漁なら翌年のブリ供給に大きな支障が出る。

 これに対して人工種苗はいつでも入手が可能。天然種苗を使えば秋冬に限られるブリの出荷が、春夏でもできるようになる。また、天然資源に影響を与えず環境負荷が少ない点、稚魚から親魚になるまでの履歴が確認できる点、選抜育種ができる点も大きなメリットとなっている。選抜育種ができればブランド米やブランド牛のように、よりおいしく、成長が早い家系を作り出せる。

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最終更新:3/14(木) 11:03
みなと新聞

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