ここから本文です

ブリ輸出額が過去最高 でも遠いサーモンの背中 研究開発に差

3/14(木) 11:00配信

みなと新聞

人工種苗 日本水産グループなどが生産

 天然種苗の供給量が年間2000万~2500万尾であるのに対し、人工種苗は約200万尾とみられる。その差は10倍もある。現時点では水産研究・教育機構(横浜市)、マルハニチロ子会社の奄美養魚(同県瀬戸内町)など6社・団体が生産能力を持つ。

 このうち、種苗生産から親魚までの養殖、販売までを全て自前でできるのが日本水産グループの黒瀬水産とアーマリン近大(和歌山県白浜町)だ。黒瀬水産は春夏出荷用の人工種苗、秋冬出荷用の天然種苗を併用し、1年を通じ150万尾のブリを出荷する。1社で150万尾という生産数は国内最大規模。販売面ではアジア、欧州を中心とした輸出が好調に推移する。18年は過去最高の9万6000尾(前年比15%増)を輸出した。

 アーマリン近大は人工種苗由来のブランドブリ「近大ブリ」を年間1500尾ほど販売する。卵から親魚出荷に至るまでの飼育情報を記録し、消費者からの問い合わせにすぐ対応できるなど安全安心が強み。また、人工種苗は東町漁協(鹿児島県長島町)、兵殖(大分県津久見市)といった有力生産者に販売している実績もある。

 早期の人工種苗導入を-。全国の生産者の要望を受け、行政機関も供給を急ぐ。

 養殖ブリ生産量日本一の鹿児島県は昨年、事業費7億円をかけて同県垂水市内に種苗生産施設を新設。来年度からは事業主体をかごしま豊かな海づくり協会に移し、種苗を県内養殖業者に販売する計画だ。22年度には人工種苗45万尾を供給する目標を掲げる。

 水研機構も来年度から受精卵や人工種苗を民間企業などに販売する予定。民間でも種苗を自社生産できるよう技術指導を行う。選抜育種についても研究。寄生虫ハダムシの付きにくい家系、成長スピードの速い家系などをつくり、生産現場への早期普及を目指している。

 一方、海外市場でライバルとなるノルウェーの養殖サーモンは、研究開発で日本を大きくリード。選抜育種を進めた結果、当初3だった増肉係数(魚を1キロ太らせるのに必要な餌のキロ数)を1・2に改善した。増肉係数が改善されれば、生産コストの重しとなっている餌代が少なくすむため。ノルウェーの養殖サーモンでは年間約50億円の経済効果が出たという。現在出回っているサーモンの大半が育種されたものだ。

2/3ページ

最終更新:3/14(木) 11:03
みなと新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事