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孤立感じることも…医療的ケア児に対応、学校看護師の実態

3/14(木) 10:18配信

西日本新聞

 親の付き添い負担を軽減し、障害がある子どもが通う学びの場を確保しようと、医療的なケア(医ケア)を事実上、一手に引き受ける学校看護師たち。その働きぶりの実態とは-。

【グラフ】医療的ケア児数の推移

 昼食時間を目前にした午前11時半。福岡市立のある特別支援学校で毎日、保健室に待機する女性看護師4人の“スイッチ”が入る。

 たんを出しやすくする霧状の薬剤を気管に噴射する吸入が必要な子の処置からスタート。それから手分けし、栄養剤の胃ろうからの注入など食事の世話に当たる。たんの吸引は随時、対応。食事中にたんが増える子が多く、呼び出しの電話がひっきりなしに鳴る。

息切らして3時間

 こうした医ケアが必要な児童・生徒は小学-高等部に計19人。2階建ての横長の校舎で、彼女たちは階段を上り下りし、時には昼食を取る時間もなく、3時間近く教室を駆け回る。

 基幹病院の勤務経験が長く、5年前から同校で働くベテランのAさん(60)は「すぐ吸引に行けず、誤嚥(ごえん)気味の子どもの顔が真っ白になっていて、ヒヤッとしたことがあります」。

 最近は人工呼吸器の子も通う。訪問看護師から転身した6年目のBさん(40)は「昔は体調が落ち着いた子が多かったけれど、今はケアの内容も複雑で高度になっていて…。とにかく気が引き締まる思いです」。

 少人数でケアに携わる責任の重さ、不安…。学校内に常駐する唯一の医療職にとって、心理的な負担やストレスは、それだけが理由ではない。

親の要望と隔たり

 吸引、注入など一人一人の医ケアの内容や範囲については、保護者が毎年度、基幹病院など子どものかかりつけの主治医が「学校看護師が実施できる」と認める意見書を添えて申請し、学校側が決定する。

 ただ食事や水分の注入は一応、時間を決めているにもかかわらず、授業が長引くなどしてずれ込むケースも。また子どもの体調によっては、親側からの「伝言」として予定時間外の処置を求められることもしばしば。ここ数年、在宅で注入に使う栄養剤の種類も増えている。マンパワーに限りがある学校で、どこまで対応できるのか-。その「臨機応変」の度合いは、現場の看護師の裁量に委ねられがちだ。「自分たちは嘱託職員で学校での上司もよく分からない。以前は誰にも相談できず、とにかく孤独で苦しかった」(Bさん)

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最終更新:3/14(木) 15:25
西日本新聞

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