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和牛、漫才いまも“熟成中” 水田「スベるより新ネタ作らなくなる方が怖い」 川西「やり込んだら、違うのやりたくなる」

3/15(金) 16:56配信

夕刊フジ

 「3回目は一番すがすがしかったですね」

 2018年のM-1グランプリで3年連続準優勝。またしても頂点に手が届かなかった。その瞬間を水田信二は穏やかに振り返る。

 「2回目(17年)の方が悔しい、しんどい、またって…という感じで、舞台上で相方に『来年、どうする?』って言ったほど。今回はお互い、おもしろいと思っているネタで、めっちゃウケた。やりたいことはやった」

 さばさばした様子。水田の言葉を聞きながら、相方の川西賢志郎も静かにうなずく。タイトルは取れずとも自分たちなりに納得できるバトルだったという。

 水田が芸人になりたいと思ったのは中学時代。高校を卒業し、コンビを組もうとしていた同級生を追って調理師学校に願書を出すが、それがまさかの展開になる。

 「入学が決まってから、その同級生が『行かない』と言い出して(笑)。結局、1人で入学。で、やってみたら、好きになって一度は料理人になりましたけど、やっぱり一番やりたかったのは芸人だと」。そのときすでに23歳。

 川西は“お笑いの聖地”大阪に生まれ、幼い頃からのお笑い好き。高校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)に迷わず入学する。

 経歴上では、ともにNSC26期生。だが、初めての出会いは卒業から2年後で、同期のピン芸人「バイク川崎バイク」の紹介だった。

 そのときの第一印象は、「あっ、この人と一生、漫才する」(水田)。「そんなん、いままで言ったことないやん。僕は『料理人が来た』と」(川西)。かなりの温度差があったようだ。

 3度、準優勝で終わったと言ってもそこは実力者。14年のNHK上方漫才コンテストで優勝した練りに練ったネタと、観衆を引き込む底力は、数いる若手芸人のなかでも頭一つ抜け出ている。

 こだわりは、川西いわく「2人やからおもしろくなる会話、2人やからできる漫才」。水田は「どのネタ見ても『和牛っぽいね』って言われる漫才」。練り上げるネタとは打って変わって、意外とシンプルだ。

 今につながる芸は、若手芸人の主戦場、大阪・難波の「baseよしもと」で磨いた。

 「毎週、新ネタせなあかんし、単独ライブもとなったら、ネタも6~7本、集中的に作らなあかんし」(川西)

 結成当時は、水田が1人でネタを書いていたが、必要に駆られて2人で書くようになった。これがいい方向に転がっていく。

 「ボケ、セリフ、ツッコミ。全部1人(水田)で考えると、その脳みその範囲内なので、広がりが少ない」(川西)

 「お互いが自分で考えて言葉を出すので、より自然で面白く、足すじゃなくて、カケルになるような」(水田)

 相乗効果が加速していくなかで、皮肉と卑屈、疑い深い人間性をデフォルメした独特のスタイルへとたどり着く。

 「漫才に色がないと周りに言われ、悩む中で、自分らの魅力を素直に考えたとき、水田くんの細かいことを言うてんのをネタにしたら面白いんちゃうかと。見せたら、周りの反応がよかった」(川西)

 重箱の隅をつつくような理屈ばかりを言う水田に、困惑しながらツッコむ川西。代名詞の“へりくつ漫才”が誕生する。

 現在、月2本のペースで新ネタを作っている。毎年開催する単独ライブのためでもあるが、そもそも「スベるより、新しいネタを作らなくなる方が怖い」と水田。川西も「飽きてくるし、旬もある。やり込んだら、違うのをやってみたくなる」。もはや職業病の域でもある。

 先生役を務める単独冠番組『和牛のギュウギュウ学園』(関西テレビ)でも創作の重要性を実感している。オーディションで選ばれた中高生の魅力をどう引き出すか。「親御さんと話す機会があれば、子供たちの方向性もみえてくるのでは」(水田)と、三者面談さえ考えるほどだ。

 栄枯盛衰のサイクルが速く、弱肉強食。一分たりとも気の抜けない世界で自身の将来像をどう描いているのだろう。

 川西「ブレずに背伸びせず、へりくだらず。芸歴を重ねても感覚は若手時代のまま。その感覚を大切に」

 水田「年を取るごとにおもろなってると言われる漫才師に」

 置いてこそ旨味を増す熟成肉のようなベテランを目指す。(ペン・田中一毅/カメラ・須谷友郁)

 2006年にお笑いコンビ・和牛を結成。14年にNHK上方漫才コンテスト優勝、16年から3年連続でM-1グランプリ準優勝。18年、水田が地元・愛媛の伊予観光大使、川西が応援隊長に就任した。新ネタライブ『ワッとしてギュッと』を毎年開催している。

 和牛と現役中高生10人でつくる青春応援バラエティー番組『和牛のギュウギュウ学園』(関西テレビ。毎週火曜深夜0時55分)は、カンテレドーガで見逃し無料配信中。23日に大阪・関西テレビで「大文化祭」公開収録を開催(午後1時、中高生限定)。応募方法などは番組ホームページで。

 ■川西賢志郎(かわにし・けんしろう) 1984年1月29日生まれ、35歳。大阪府出身。ツッコミ担当。

 ■水田信二(みずた・しんじ) 1980年4月15日生まれ、38歳。愛媛県出身。ボケ担当。

最終更新:3/15(金) 17:22
夕刊フジ

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