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国の責任、再び認めず 「ふるさと喪失」も否定 原発避難者集団訴訟・千葉第2陣 地裁判決

3/15(金) 10:59配信

千葉日報オンライン

 東京電力福島第1原発事故で福島県の避難指示区域外から千葉県に自主避難した6世帯19人が、国と東電に計約2億4千万円の損害賠償を求めた集団訴訟(千葉第2陣訴訟)の判決で、千葉地裁(高瀬順久裁判長)は14日、国の賠償責任を認めず、東電だけに4世帯9人へ計約508万円を支払うよう命じた。地裁は2017年の第1陣訴訟でも国の責任を認めなかった。国を被告とした同種訴訟の判決は7件目で、千葉地裁の2件だけが国の責任を否定している。原告側は控訴を検討する。

 津波予見と対策に関する国の責任と、住んでいる場所での平穏な生活が奪われた「ふるさと喪失慰謝料」の認定が主な争点だった。

 判決で高瀬裁判長は、国は遅くとも06年までに津波の到来による原発電源喪失を予見できたが、対策をしたとしても被害を回避できなかったと、国の違法性を否定。地震対策を優先に考えており、東電に津波対策を指示しなかったことが不合理な判断とは言えないとした。

 東電の賠償に関しては、避難区域外の住民の健康被害リスクを否定することはできないとして、原告の個別状況に応じた自主避難の合理性を一部認めた。

 原告側弁護団によると、賠償認容額は、原告になっていない同一世帯の避難者に既に支払われた賠償額を含めて算出。原告個人への賠償でなく、原告がいる世帯ごとに賠償を命じるかたちになった。

 ふるさと喪失慰謝料については「復興状況から、地域コミュニティーなどの生活基盤が破壊されたとも、精神的損害を被ったとも言えない」として、一切認めなかった。第1陣訴訟では一部認めていた。

 判決を受け、原告の一人で野田市に自主避難している菅野貴浩さん(56)は「何と言っていいのか分からない。残念、がっかりだ」と厳しい表情。原告側弁護団の福武公子団長は「失望したと言う以外ない」と語気を強めた。

 訴状などによると、6世帯19人の原告は事故当時、福島県いわき市や福島市などの避難区域外に居住。「避難区域の設定に合理性はなく、区域外を理由に賠償額が低くなるのは許されない」「国と東電は津波を予見でき、対策をしていれば事故を回避できた」などと訴えた。

 国と東電は津波は予見できなかったと反論し、東電は「国の指針に基づく賠償で十分」と主張していた。

◆原発事故の自主避難者

 2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故で、政府による避難指示が出ている地域以外からの避難者。国や福島県は正確な人数や避難先など実態を把握していない。主に放射線による健康不安が理由とされる。国と福島県は被災者に、公費で民間住宅などを借り上げた「みなし仮設住宅」を無償提供したが、自主避難者分は17年3月に提供を終了。独自に住宅の無償提供をしてきた他の自治体でも追随した打ち切りが相次ぎ、経済的に困窮している人がいる。

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