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胃がん遠隔診断で連携 福島医大と6病院 精度向上へAI全国初活用

3/16(土) 8:14配信

福島民報

 福島医大は、日本人に多い胃がんの診断に必要な胃生検(胃の細胞や組織)の病理画像データを県内六病院から集め、人工知能(AI)を使って遠隔診断するシステムの運用を二十五日に始める。各病院の病理診断の精度を高め、患者により適切な治療を提供するとともに病理医の負担を減らすのが狙い。日本病理学会が開発中のAIによる病理診断支援システムの実証実験として全国に先駆けて実施し、AI診断の発展につながる試みとなる。

 福島医大と日本病理学会が十五日、「県病理診断ネットワーク」の運用と実証実験の開始を発表した。事業の流れは【図】の通り。福島医大付属病院を核に、福島赤十字病院(福島市)、太田西ノ内病院、星総合病院、総合南東北病院(郡山市)、福島医大会津医療センター、竹田綜合病院(会津若松市)の合わせて七病院が連携する。

 連携病院は、患者の胃からがんなどの病変の可能性がある組織や細胞の標本を採取し、専用スキャナーでデジタル画像化する。病理学会のデータセンターを経由し医大付属病院に送信する。医大の病理医は画像データを基に診断所見を出し、データセンターから届くAI診断の所見を添えて依頼先の病院に戻す。各病院の病理医は、医大とAIの所見を参考に最終的な診断を下す。

 AI診断システムには先行事業で多数の病理画像が蓄積されており、がんと炎症など他の症状を判別する確率は約80%、がんを見落とさない確率は約95%という。

 病理医は、がんなどの疾患が疑われる細胞や組織を顕微鏡で観察して診断する専門医。確定診断や治療方法選びに深く関わるが、全国的に不足している。福島県は二十四人で、人口十万人当たりでは一・二七人と全国で二番目に少なく、平均年齢が六〇・六歳と高齢化している。常勤病理医が複数いる病院は福島医大付属病院(四人)のみで、各地の拠点病院でも病理医が一人で全診断を担っている。

 福島医大付属病院を核とした遠隔病理診断ネットワークの構築により、一つの症例を複数の医師が診断できるようになる。AI診断による情報を判定に加味することで、診断精度の向上や診断時間の短縮につながると期待される。

 日本病理学会は各病院がネットワーク上でやりとりする病理画像や病理医の所見などの情報を集積し、AIに学習させることで診断システムの有用性を高める。

 県がん登録(二〇一三年)によると、県内の全がん罹患(りかん)数に占める胃がんの割合は男性で最多の20・7%、女性でも13・6%と乳がんに次いで多い。関係者は胃がんを足掛かりに、将来は他のがん診断にも遠隔診断やAI診断を広げる考えだが、拡大には初期投資や運用経費の節減が課題になるとしている。

 県庁で記者会見した福島医大医学部病理病態診断学講座の橋本優子教授は「病気の確定診断に関わる病理診断を一人で担うのは大きな負担となる。地域のネットワークは若手を育てる上でも非常に重要だ」と意義を語った。

最終更新:3/16(土) 8:14
福島民報

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