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意外に知らない「発明大国ハンガリー」のデジタル事情

3/16(土) 7:00配信

ITmedia NEWS

 ボールペン、ビタミンC、ルービックキューブ――これらの共通点が何か分かるだろうか。実はこれらは全てハンガリーで発明・発見されたもの。同国のノーベル賞受賞者は延べ12人に上る他、コンピュータの礎を築いたとされる数学者のジョン・フォン・ノイマンもハンガリー出身だ。

ハンガリーで発明されたもの(画像)

 「ハンガリーはクリエイティビティーのレベルが高い国で、あらゆる分野でIT化を進め、AI(人工知能)といった先進的な技術にも政府は力を入れている」――ハンガリー大使館 特命全権大使のパラノビチ・ノルバートさんは、こう話す。

 欧州では電子政府のエストニアが「IT立国」として有名だが、ハンガリーはどうか。欧州委員会が2018年に発表した「デジタル経済社会インデックス(DESI)」を見ると、ハンガリーの“デジタル化指数”は他国に比べて決して高いとはいえない。

 こうした状況を改善すべく、ハンガリーは国を挙げてITやAIなどの分野に注力し、国内産業を立て直そうとしている。同国は2018年5月に先進的な産業を後押しすべくイノベーション・テクノロジー省を設立し、10月に人工知能連合を立ち上げた。19年半ばまでに独自のAI戦略策定を目指しているという。

 AI分野では、自動運転車やバイオテクノロジーの分野で研究が進んでいる。

自動車やバイオテクノロジーに強み

 ハンガリーは欧州の他の国と比べて「人件費が安く労働者の専門性が高い」(パラノビチ大使)ことなどもあり、海外の自動車メーカーも続々と製造拠点を置いている。スズキ、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディなどのメーカーが同国でクルマや部品の製造をしている状況だ。

 そして近年ではクルマや部品の生産だけでなく、自動運転車の研究も盛んに行われている。

 日本でもなじみがあるのは、2017年に菱洋エレクトロと組んで日本進出を決めた自動運転ベンチャーのAImotive(エーアイモーティブ)だろう。自動運転ソフトウェアプラットフォームや、シミュレーションツール、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使ったハードウェアアクセラレーターIPなどを開発している。

 ハンガリーは、公道での自動運転テストの許可が出ている地域の1つ。「自動運転車については政府も力を入れている。現在、ハンガリー政府は西部地域に欧州最大のテストコースを建設中です」(パラノビチ大使)

 また、旧ソ連時代から製薬研究をしていた歴史を持つこともありバイオテクノロジーの分野に強みを持つ。ここ15年間で55以上のバイオテクノロジー企業が設立されたという。特にがん治療用の新薬開発など医療関連の技術である「レッドバイオテック」に近年注目が集まっている。

 例えば「Curing cancer with Artificial Intelligence」(AIでがんを治す)とうたう医療スタートアップのTurbineは、AI技術を活用して分子レベルでがんの動きをモデル化し、その上でどのような薬物が治療に有効かの膨大なシミュレーションができるようにした。2017年に欧州の「スタートアップオブザイヤー」に選ばれるなど、注目を浴びている。

 パラノビチ大使によると、「ハンガリーのバイオテクノロジー企業のうち、43%の企業がレッドバイオテックを主要分野としている状況」という。

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最終更新:3/16(土) 7:00
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