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劇団四季新作が横浜で開幕 元軍人役の斎藤 「闇も表現」 

3/16(土) 5:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 劇団四季(横浜市青葉区)が手掛ける新作ミュージカル「パリのアメリカ人」の横浜公演が19日、開幕する。1951年に公開された同名映画に想を得た作品で、2014年にパリ・シャトレ座で初演後、米英でも上演された。舞台は第2次世界大戦後の荒廃したパリ。戦争の傷を抱えながら、希望を胸に新たな人生を歩む若者たちの物語だ。
 
 米国の退役軍人ジェリーは、画家として芸術に身をささげようとパリに残る決意をする。同じく元米軍人で作曲家志望のアダム、ショーマンに憧れるフランス人アンリと友情を育み、互いの夢を応援し合う。だが、図らずも3人は一人の女性を同時に愛してしまい…。
 
 映画版との大きな違いは時代設定を明確にしていること。ミュージカル版にはナチス・ドイツの占領などの歴史的背景を付け足し、物語に深みを与えている。四季が演じる日本版は、1月から今月上旬まで東京公演が行われた。
 
 夢や希望といった若者たちの鮮やかな未来との対比で「戦争という暗い過去を描写することも必要だったのだと思う」と語るのは、アダムを演じる四季の斎藤洋一郎。
 
 戦争で右脚を負傷したアダムは、ピアニストとして生計を立てながら作曲家を目指している。周囲との軽妙な掛け合いで客を笑わせるコミカルな一面と、「戦争を忘れてはいけない」との固い信念を持ち合わせた役どころだ。
 
 「時におちゃらけつつ、思い描く作曲家像との違いに葛藤したり、『芸術家はこうあるべき』という頑固さがあったりする。明るさだけではない、『闇』を秘めた彼の内面を表現したい」と斎藤は話す。
 
 自身も芝居に真っすぐ向き合い、時に思い詰めることもある。「アダムをどう演じるべきか答えが見いだせず、ずっと悩んできた」。だが、「不安定なままでもいいかもしれない」とも思う。アダムもまた、同じように作曲家としてのあり方をもがきながら模索する人物だからだ。
 
 キャラクターたちの揺れる心情を映し出すドラマ性に加え、数多くのバレエ作品を生み出した世界的振付家クリストファー・ウィールドンの演出・振り付けでタップやバレエなどの華麗なダンスを惜しみなく披露する今作。米国の作詞家、作曲家のガーシュイン兄弟が手掛けた名曲の数々との融合も見どころの一つだ。

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  「重い歴史を感じながらも、ガーシュインの明るい曲に合わせてリズムに乗りに来てほしい。エンターテインメントの世界にたっぷり浸ってもらえたら」と呼び掛ける斎藤。横浜公演に向けて「役作りはまだまだ続く。アダムという人物をより深めていきたい」。言葉の端々に、役への深い愛情と覚悟がにじんだ。

◆KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で8月11日まで上演。S席1万1880円~C席3240円。問い合わせは劇団四季電話(0570)008110。

神奈川新聞社

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