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日本にも「観光公害」 外国人の団体観光客の締め出しも

3/16(土) 9:05配信

The Telegraph

【記者:Greg Dickinson】
 日本ではここ数年、海外からの観光客が爆発的に増えている。1990年にはわずか320万人だった訪日外国人数は昨年、3000万人に膨れ上がった。今年9月にはラグビーワールドカップ、来年には東京五輪の開催を控え、今年の訪日者数はさらに増える見込みだ。

 とはいえ、ひと握りの「素行の悪い」観光客のせいで、悪影響を被る人気スポットも出てきている。

 こうした問題に対応策を講じた観光地の一つに、「ねぼとけさん」と呼ばれる巨大な釈迦涅槃(しゃかねはん)像で知られる福岡県篠栗の南蔵院がある。南蔵院は2016年5月、海外からの団体観光客の受け入れを中止する方針を決定した。マナーの悪い一部の外国人観光客のせいで、一般の参拝客が来なくなってしまったのだ。中には、大音量で音楽をかけ、僧侶が修行で使う滝で水遊びをするなどの外国人客もいたとされる。

 南蔵院は、個人旅行の外国人観光客は現在も受け入れている。だが日本人観光客に対しても、マナーが悪ければ遠慮してもらっているという。

 この問題について、英オンライン旅行会社リスポンシブル・トラベルのジャスティン・フランシス代表はテレグラフ・トラベルに対し、次のように述べた。「好きなようにあちこち旅ができることは、(観光客の)基本的な『権利』や自由と捉えられがちで、それを制約する取り組みはどんなものであれ、(外国人と地元民で料金に差があれば)差別や特権と受け止められる可能性がある。しかし忘れてはいけないのが、地元の人々や(そしてその土地)にも権利があるということだ。旅する権利は、地元民の犠牲の上に成り立ってはならない。今回のケースは、神聖な場所を守り、信仰心を守るためだ」

 観光地が受け入れられる許容限度以上に旅行客が押し寄せるオーバーツーリズムに手を打ったのは南蔵院だけではない。昨年の夏以降、日本のメディアは「観光公害」問題について取り上げるようになった。主に問題となっているのは京都と鎌倉だ。住民からは、地元の街があまりにも混雑し、路線バスにも乗れず、お気に入りのレストランの予約も取れないと不満の声が上がっている。

 観光庁は観光公害対策として、旅行客に対し、東京と京都、大阪の「ゴールデンルート」から外れ、地方にも足を運んで探索してみてほしいと呼び掛けている。

 地元の反応はさまざまだ。観光業で成り立っているホテルや企業は外国人の流入を歓迎しているが、一般市民は、自分たちの街によそから来る人々が増え過ぎることをそこまで喜んではいない。外国人客は多くの場合、土地の慣例、例えば、ごみの分別ルールなども把握しておらず、地元民を悩ませている。

 京都市の観光コンベンション部の部長、赤星周平氏は、「私たちが目指すのは、調和の取れた共存と、市民と観光客の相互利益」だと話し、「さまざまな問題をイノベーションで対処している」と続けた。

 訪日観光客数は引き続き増加が見込まれる中、政府は今年1月から出国税として、国籍に関係なく、飛行機または船で出国する人から1000円を徴収するようになった。英語では「サヨナラ・タックス」などと呼ばれるこの税収は、さらなる訪日客の受け入れや観光事業の開発に充てられる予定だ。【翻訳編集】AFPBB News

「テレグラフ」とは: 1855年に創刊された「デーリー・テレグラフ」は英国を代表する朝刊紙で、1994年にはそのオンライン版「テレグラフ」を立ち上げました。 UK Consumer Website of the Year」、「Digital Publisher of the Year」、「National Newspaper of the Year」、「Columnist of the Year」など、多くの受賞歴があります。

最終更新:3/16(土) 11:10
The Telegraph

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