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50M走で骨折、片足で立てず…子どもの体に何が?

3/16(土) 7:03配信

読売新聞オンライン

 「走っただけで、骨折してしまう」「片足立ちでフラつく」……。自分の体をコントロールできない子どもが増え、簡単な動作をしただけで大けがを負うケースも目立つという。日本体育大学の野井真吾教授(教育生理学)がその背景を解説し、子どもたちを守るための対策を提言する。大切なのは、幼児期の体を使った「遊び」だという。

◆子どもの体に異変

 全国の養護教諭から、以前にはあまり見られなかった、子どもたちの“信じられないけが”の例が報告されるようになりました。ある中学校では、50メートル走のタイムを計測していたところ、走り始めた子どもが20メートル付近で転んで動けなくなったそうです。病院で調べると、股関節のはく離骨折が確認されました。転んで骨折したのではなく、走るときの筋肉の収縮に骨が耐えきれず、筋肉に引っ張られて骨の一部がはがれてしまい、そのために転んだというのです。

 この他にも、小学校では「雑巾がけで腕を骨折した」「跳び箱に手をついた際に骨が折れた」といった報告もあり、日常的な動作や軽い運動での骨折が目立っています。

 また、「うまくしゃがめない」「片足立ちでふらつく」など、自分の体をうまくコントロールできない子どもも増えています。

◆異変の原因

 簡単な動作で骨折してしまうのは、かつての子どもたちに比べて骨が弱くなっているのが一因と考えられます。骨は古くなった組織を壊し、新たに形成する――というサイクルを繰り返しています。この再生のサイクルは、ジャンプのように骨に強い負荷をかける動きでスイッチが入ります。言わば、骨は負荷に耐えられるように自らを作り替えようとするので、骨を強くするためには、ある程度の負荷が必要なのです。

◆運動能力が低下している

 では、自分の体をうまく使えない子どもが増えているのはなぜでしょうか。実は、子どもたちの体力が時代とともにどう変わってきたかを示すデータがあります。1964年から全国で行われているスポーツテストの記録です。同じ測定項目で続けられていた97年までの記録を11歳時で比較すると、「垂直跳び」「握力」などの体力を示す項目は横ばいですが、「走り幅跳び」「ハンドボール投げ」などの運動能力は著しく低下しているのです。

 この事実からわかるのは、体力はあるけれども、その力をうまく組み合わせて使えない子どもが増えたということです。例えば、筋力や瞬発力はあるのに、走り幅跳びの記録は伸びない。98年から項目が変わり、比較しにくくなったため、20年ほど前のデータが最後ですが、当時と比べても現在は“信じられないけが”をする子どもの報告は増えています。骨が弱くなっているほか、無理な動きをしてしまう――。そうした傾向はさらに強まっている可能性があります。

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