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しめ縄飾りは「ゴミ」か…受け取り拒否で処理困る声

3/15(金) 9:36配信

産経新聞

 正月に玄関先などに飾る「しめ縄飾り」。以前は小正月(1月15日)や節分に社寺へ持参すれば「とんど(どんど)焼き」などで焚(た)き上げられて簡単に処理できていたが、都会の社寺では近隣からの苦情など理由に拒否するケースや、そもそもとんど焼きを行わない社寺もあり、「処理の仕方がわからない」と困惑する声もあがっている。「神聖」なしめ縄飾りは、役目を終えるとゴミになってしまうのだろうか。(北村博子)

【写真で見る】大阪天満宮のとんど神事

■モラル低下し「量販店はダメ」と拒否

 「日本大百科全書」によると「注連縄(しめなわ)は、早くから信仰に結びつけて理解されてきた」とあり、日本の神様は祭りのたびに来臨するので、神霊を迎えるための清浄な場所を示すために張りめぐらせたとされる。後に神が神社に常駐すると考えられるようになると、拝殿や鳥居に張られるようになり、一般家庭でも神棚のほか、玄関先に飾るしめ縄が浸透していったことが説明されている。

 正月のしめ縄飾りは、元日の朝に家に訪れる福の神「年神」の目印になるほか、家内に不浄なものを立ち入らせない結界の意味もあるという。地域によって違いはあるが、関西ではしめ縄飾りや松飾りが1月15日までの「松の内」まで置かれ、小正月や節分に社寺のお焚き上げ行事「とんど焼き」で焼納されてきた。

 ところが、大阪市鶴見区の鶴見神社では、「量販店で購入したしめ縄飾りは燃やせない」と拒否している。同神社では節分の夜に年齢分の豆を持ち込んで、おはらいしてもらう風習がある。その際には持参したしめ縄飾りや古札を、ドラム缶のとんどでお焚き上げするのが一連の流れだった。同神社の花谷幸比古宮司は「量販店のものは、内側に不燃物の芯が入っていたり、わらの代わりに化学繊維を使っていたりするので分別ができない」と断る理由を説明する。

 実は20年ほど前から、年賀状やおもちゃ、写真、人形など正月の縁起物とはまったく関係のない持ち込みが増えてきたという。「最近は財布やハンドバッグ、領収書などを投げ入れられることもあります。もうひどいもんですよ」と打ち明ける。モラルが低下した結果、近隣住民から煙や臭いなどの苦情が出るようになり、消防署の指導が入ったこともあった。

■例外的に「とんど」OK

 一方、1月15日にとんど神事を行っている大阪天満宮(大阪市北区)では条件付きでしめ縄飾りの焚き上げを受け付けている。「だいだいなどの飾り類は取り外してもらったうえでお預かりしている」と天満宮の関係者。やはりさまざまな持参品があるが、しめ縄飾りや松飾りなど、神事に関わるものに限定しており、干し柿やだいだい、鏡餅などの生の食べ物のほか、プラスチックの台やケースなども受け付けていない。

 廃棄物処理法では、大気汚染物発生などが周辺環境に悪影響を与える可能性があるとして、野焼き行為を禁止している。

 ただし、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第16条の2では「公益上若(も)しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの」は例外として認められている。また、同施行令第14条の3では「風俗習慣上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却」も認められている。

 社寺で行われるとんどは、法律的には例外で認められている。このため、しめ縄飾りを焚き上げするかは各神社の裁量に委ねられる。

■「塩ふって処分」とんど存続の危機か

 一部でしめ縄飾りをゴミとして出すように促す神社が出てきているほか、街中の社寺ではとんどを行っていないケースもある。そこで、ごみとして出す場合の正しい方法を大阪市環境局事業管理課に尋ねると、担当者は「廃棄物として扱う場合は、最大辺が30センチ以下なら普通ゴミになる」と回答。だいだいなどの付属品も含めて、そのままゴミとして出しても問題ないという。

 同課では仏壇の処分について市民から質問されることがあるといい、「『魂を抜かなくて大丈夫か』などといった宗教上の心配事に関してはお寺などに尋ねてもらうようお願いしている」と話す。

 しめ縄飾りについても「そういったことを気にする人に対しては、地域の神社などへお清めの方法を聞くよう案内する」というので、改めて鶴見神社に清め方を尋ねると「塩をふって袋に入れて処分してください」と返答があった。物の清め方については、社寺によって多少の違いもあるので、そういった情報が敷地内のわかりやすい場所に明示されていると、混乱は避けられるはずだ。

 しかし、とんどを行うことによる近隣住民の苦情や、一部参拝者の度が過ぎる持参品については、神社も手をこまねいているという現実がある。神社庁のアンケートでも問題視されているようで、「とんどを続けるべきかの議論にまで発展している」と花谷宮司は明かす。

 しきたりなどを重んじる人の中には、ゴミとして出すことに「罰が当たらないか」などと抵抗を感じる人もいるだろう。日本に残るしめ縄飾りの伝統は、存続の瀬戸際に立たされているのかもしれない。

最終更新:3/15(金) 11:40
産経新聞

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