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ブリットポップシーンに影響を与えたザ・スミスの名盤『ザ・クイーン・イズ・デッド』

3/17(日) 18:00配信

OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はザ・スミスの『ザ・クイーン・イズ・デッド』を紹介する。たった5年しか活動していないバンドにもかかわらず、ザ・スミスが英国の音楽シーンに与えた影響は多大だった。元オアシスのノエル・ギャラガーが自分のギターヒーローと崇めるように、ザ・スミスの存在は1990年代のブリットポップ・シーンを語るのに欠かせないだろう。スウェードもレディオヘッドも少なからず彼らの影響を受けていると思う。そして、ザ・スミスの名盤と言うことで、やはり1986年にリリースされ、UKチャートの2位を記録した『ザ・クイーン・イズ・デッド』を一番に挙げたい。
※本稿は2015年に掲載

孤独と疎外感をさらけ出したモリッシー

ザ・スミスは1982年にマンチェスターで結成された。メンバーはモリッシー(Vo)、ジョニー・マー(Gu)、アンディ・ローク(Ba)、マイク・ジョイス(Dr)の4人。引きこもりの文学青年、モリッシーの詞の世界、ジョニー・マーのセンシティブでポップなメロディーの化学反応は、瞬く間に内向的な少年少女たちに共感され、世界的ヒットとはならなかったものの、英国を中心に熱狂的な支持を得ることになる。バンド自体は、当時のレーベル、ラフ・トレードとのトラブルや、メンバー同士の不仲により、『ザ・クイーン・イズ・デッド』の翌年にリリースされた4thアルバム『ストレンジウェイズ・ヒア・ウィ・カム』を最後に解散。それ以来、再結成していないこともあり、ザ・スミスは今なお伝説として語り継がれている。

なぜ、ザ・スミスはそんなに人々の心を捕らえたのだろうか。もちろん、ジョニー・マー(ザ・スミスの後に参加したThe Theもお勧め)の書くメランコリックなメロディーやギターの旋律もその大きな要素だとは思うが、モリッシーの社会的メッセージ、世の中に適応できない違和感、孤独感、情けない自分をさらけ出した歌詞を抜きには彼らのことを語ることはできない。80年代の英国は若者の失業者問題を抱え、不況にあえいでいた。階級社会であり、貧富の差が歴然としている中、モリッシーの出口が見えない自己憐憫に満ちた詩は多くの人の心の中を代弁していたのかもしれない。

余談になるがザ・スミスが解散した翌年、初めてイギリスに行ったことは今でも忘れられない体験だ。重厚な建物、滅多に晴れないグレーの空、スーツをビシッと着こなしたいかにも裕福そうな英国紳士と赤い髪をツンツンに立てた女の子ーー。その時はロックはかなりすたれていて、アシッドハウス全盛だったのだが、不況だったせいか(日本はバブルだった)、鬱屈した空気が全体に漂っていて、なぜこの国でパンクロックが爆発的人気を得たのかが分かるような気がした。そして、アマチュアバンドが多数出演する小さなライヴハウスに飛び込みで入ったら、出てくるバンド、出てくるバンドがザ・スミスのコピーバンドみたいで驚いたのを覚えている。それぐらい彼らの存在は大きかったのだ。

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最終更新:3/17(日) 18:00
OKMusic

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