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ピエール瀧が売れない俳優でも公開中止に反対しましたか?「作品無罪」を考える

3/18(月) 9:20配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

『あまちゃん』総集編の意義

NHKの連続テレビ小説ドラマ『あまちゃん』の音楽を手がけた大友良英さんも声を上げた。

「やはりどう考えても『あまちゃん』後編の放送自粛は良くない。再放送が三陸鉄道リアス線開通祝いのためにあること。犯した罪を裁くのは司法であるべきで番組の自粛では何も解決しないこと。そもそも一個人の問題であり番組が連帯責任を負うべきものではないことなどが理由。どうにかならないものか」

NHKは2013年に放送した連続テレビ小説ドラマ「あまちゃん」は、3月23日の「三陸鉄道リアス線」の開業に合わせて、BSプレミアムで3月17日に前編、24日に後編を放送する予定だった。しかしNHKは、総集編のうち瀧容疑者が出演する後編を見送ると発表している。

NHK広報局はBusiness Insider Japanの取材に対し、「三陸鉄道リアス線全線開通を記念した編成という趣旨を鑑みて、『東北編』である前編のみ放送することにしました」「なお、前編には逮捕された出演者の出演はありません」と決定の背景を説明した。

また、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の瀧容疑者の今後の出演については「再放送を含め、3月放送分については逮捕された出演者のシーンはありません」「4月以降の放送分については、対応を検討しています」とした。

多くのメディアが報じている損害賠償請求の可能性については「お答えできる段階にありません」という回答だった。

ちなみに、強制わいせつの疑いで書類送検され不起訴処分(起訴猶予)になったTOKIOの元メンバー、山口達也さんが出演していた「Rの法則」(Eテレ)は今もオンデマンドで配信されていない。番組も打ち切りになっているが、「所属事務所に対して損害額を請求し、この件は決着しています」とのことだった。

大切なのは「本人の更生」と「被害者の回復」

作品と出演者の“罪”をどう判断するか。そもそも今回のような各社の判断は「推定無罪の原則」に反しているのではないかなど、論点は尽きない。

意図的ではなく目に入る可能性のあるテレビと、自身でお金を支払って視聴する映画やオンデマンドなどは「公共性」の点からも分けて論じるべきだろう。

さらに被害者がいるかどうか、視聴によってPTSDが引き起こされる可能性などによっても対応は異なるべきだろう。2月に強制性交罪で起訴され、500万円の保釈保証金を納付して現在は保釈されている俳優の新井浩文被告(40)についても、映画が公開中止になったことなどを疑問視する声がSNSで多く見られた。

性暴力撲滅に向けた啓発活動を続けているNPO「しあわせなみだ」の中野宏美さんは、現在の世論や企業の対応について疑問を呈す。

「『作品が良いから』という理由で公開中止を否定する声が多いように見えますが、もしこれが売れていない役者さんや音楽家さんだったらどうだったんでしょうね。企業も自分の会社へのダメージになるからと過剰に反応しているように感じます。重視しないといけないのは、その対応が『本人の更生、被害者がいる場合は被害者の回復につながるか』のはずです」(中野さん)

学校で性犯罪が起きた場合の加害者の対応では、名門校は「本人の今後に影響があってはいけない」と卒業させるケースが多い一方、教育困難校は「懲罰」として退学させることも少なくないのだという。

今回も本人の知名度や人気で世論や企業の対応が大きく変わるのであれば、問題だ。

そして、犯罪を起こすと社会復帰が難しいのも現状だという。

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最終更新:3/18(月) 19:50
BUSINESS INSIDER JAPAN

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