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老舗路線を一新「本州第2位の長距離路線バス」誕生の背景 ローカル路線バスは変革期へ

3/18(月) 6:05配信

乗りものニュース

本州では第2位の長距離路線バス誕生

 2018年10月、三重県などでバス事業などを運営する三重交通が、「松阪熊野線」の運行を開始しました。三重県中部の松阪市から尾鷲(おわせ)市を経て、南部の熊野市までを約4時間で結ぶという長距離路線バスです。

【路線図】海あり山あり、史跡もたっぷり「松阪熊野線」

 この路線は、三重交通が1970(昭和45)年10月に運行を開始した特急バス(特定の停留所のみ停車する路線バス)の「南紀特急バス」が前身です。

「南紀特急バス」は当初、松阪~南紀勝浦間で運行され、のちにグループ会社の三重急行自動車も運行に参入します。数度の運行区間・経路および便数の変更を経て、一時期は高速道路経由の「津~熊野ルート」も設定されたものの、末期は松阪~尾鷲間で6往復(尾鷲市内の熊野古道センター発着4往復、瀬木山発着2往復)の体制となり、2018年9月末をもって運行を終了しました。

 これに代わる「各停」の一般路線バスとして誕生した「松阪熊野線」の系統キロは、往路134.8km、復路132.0km。キロ数としては、奈良交通「八木新宮線」(大和八木駅前~新宮駅)の166.9km、阿寒バス「釧路羅臼線」(釧路~羅臼)の約165km、沿岸バス「豊富留萌線」(留萌~羽幌~豊富)の約164km、函館バス「快速せたな号」(函館~八雲~せたな)の約146km、くしろバス・根室交通「特急ねむろ号」(釧路~根室)の約136kmに次ぐ長さで、本州では、奈良交通「八木新宮線」に次ぐ第2位の長さを誇ります。

「各停化」で利便性向上 車内も路線バスらしからぬ…

 三重交通はなぜ、特急バスから長距離路線バス(松阪熊野線)へのリニューアルに至ったのでしょうか。

 ひとつは、「沿線居住者の利便向上」です。「南紀特急バス」時代から、同路線は「地域間幹線系統」として国や三重県、自治体の補助を受けて運行していますが、沿線人口の減少やモータリゼーションの進展などによる利用客の減少が大きな課題でした。

 そこで、運行本数を現在の利用状況にあった本数(4往復)へ適正化するとともに、尾鷲市から熊野市まで路線を延長、さらに全停留所(119か所)での乗降扱いを行うことで、沿線居住者の利便性向上を図っています。使用する車両も、バリアフリーに対応し環境性能にも優れたハイブリッド式大型ノンステップバスを3台投入しました。

 もうひとつは、「観光利用者の拡大」です。沿線には、伊勢神宮「内宮(ないくう)」の別宮で参拝客が多いことでも知られている「瀧原宮(たきはらのみや)」(大紀町)のほか、熊野古道や荷坂峠(大紀町・紀北町境)頂上からの景色、紀北町以南の海岸線など、見どころが多い場所。これらへ「路線バスで来てもらおう」という意図が見てとれます。

 実際、運行ダイヤは長距離移動客を考慮し、一般路線バスでは珍しい途中休憩を2回設けているほか、車内にはドリンクホルダーやシートポケット、充電用USBポート(一部座席のみ)を装備。無料Wi-Fiも提供するなど、観光利用を意識したサービス内容になっています。

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