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この発想はなかった!野球少年が絶賛する練習器具「サクゴエ」 まるで下町ロケット……町工場の力が結集

3/22(金) 7:00配信

withnews

 ベンチャー企業がパワポを使って新規事業を説明する「ピッチ」は、IT系だけのものではありません。大阪のコテコテの下町にある町工場の職人たちによる「ピッチ」から生まれた画期的なアイテムがあると聞き、機械音と油のにおいに包まれた「スーパー町工場」を訪れました。3Dプリンターなどの工作機械にイベントスペースもある「ガレージミナト」。池井戸潤さんの小説のような取り組みを追いました。(朝日新聞経済部記者・伊藤弘毅)

【写真】ウレタン部分が前に倒れ、起き上がり小法師のように…まだまだあるぞ!新発想の練習器具

柵越え連発する少年たち

 2月半ばの土曜日。大阪市内の野球場で、中学硬式チーム「大阪堀江ボーイズ」の選手たちがティー打撃をしていました。ティー打撃とは、地面から垂直に立つスタンドに球を置き、バットで打つ練習です。


 ただ、選手たちが使っている2種類のスタンドは、あまり見慣れないものでした。ひとつは、通常と同じで球をスタンドに置くタイプ。スタンドの根本には金属、先端にはウレタン素材を使っています。球を打つと、ウレタン部分がパタンと前に倒れ、起き上がり小法師のように自力でもとの位置に戻ってきます。

 もうひとつは、足踏み式のポンプでノズルに球を吸着させ、打つタイプ。ノズルの中を真空に近い状態にすることで、球は数十秒間落ちません。



 斬新な発想の野球の練習用具の名は「サクゴエ」。選手たちはこの器具で、柵越えの打球を連発していました。主将の尾崎大嘉(たい・が)選手(15)は「これなら思い切り球の下をたたける。ティー打撃でも、打球の飛距離を伸ばす練習ができる」と、笑顔で話していました。

強豪校からも注文が

 通常のティー打撃用スタンドは、球を遠くに飛ばす練習には不向きです。球の下をたたくと、バットがスタンドに当たってしまうからです。あまり曲がらないスタンドに当たった衝撃で、スタンドが倒れたり、球が飛ばなかったりするからです。

 この課題を解決しようと、同市港区の中小企業7社が共同開発したのが「サクゴエ」です。アイデアを出したのは、奈良県の社会人野球チーム代表の弓場(ゆ・ば)直樹さん(42)。日本で使われている野球の練習用具は高価なうえ、何十年も形が変わっていないと感じていました。


 「もっと野球がうまくなるために、安価で自由な発想の用具が欲しい」。そんな思いに中小企業が応え、昨年5月にプロジェクトチームを結成。パイプやホースなど、ホームセンターでそろう材料を使って試作を重ね、子どもが自分で修理できるようによく使う部分はシンプルな構造にしました。1月に堀江ボーイズに完成した試作品を贈りました。

 弓場さんは仲間を集め、機器の販売や貸し出しをする会社「HANG(ハング)」を設立。まずはスタンド式100台の生産を中小に委託し、1台税込み月2980円で貸し出しを始めました。ホームページ(https://hang.theshop.jp/) にある連絡先から申し込めます。高校野球の強豪校からも注文を受けました。

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最終更新:3/22(金) 7:00
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