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努力を惜しまない鈴木愛 若手が追う、そのとてつもない存在【記者の目】

3/19(火) 18:19配信

ゴルフ情報ALBA.Net

<ヨコハマタイヤ PRGRレディス 最終日◇17日◇土佐カントリークラブ(高知県)◇6228ヤード・パー72>

鈴木愛、チカラいっぱい勝利のハグ!【写真】

国内女子ツアー開幕で話題を集めたのが、日本勢の2連勝。2015年から4年間は外国勢の連勝。11年は東日本大震災で2戦目が中止となってしまったため参考数字だが、日本勢の連勝は09年の三塚優子と上原彩子にまでさかのぼる。

特に2戦目として定着している「ヨコハマタイヤPRGRレディス」は、第1回の08年から18年までの11年間(10回)で日本勢の優勝は前述の上原彩子と14年の一ノ瀬優希の2人のみ。今年の鈴木愛でようやく3人目。外国勢、特に韓国勢の独壇場となっていた。

春先のゴルフを知る者なら、その難しさは知るところ。強風は当たり前で、芝も薄い。特にグリーン周りの芝は生えそろっていないことが多く、コースマネジメントと小技が勝負のカギを握る。例年、百戦錬磨のベテランや技術力の高い者がトップフィニッシュするケースがほとんど。ほかの大会よりもその傾向は強い。

開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」とPRGRは今年、超強風に見舞われた。鈴木は「体調も良く楽しみなシーズン」と前のめりでシーズンインしたが、開幕戦はまさかの予選落ち。人知れず涙を流したが、その悔しさを地元の四国で晴らした。2度のプレーオフ惜敗を乗り越え、悲願を達成したその目には達成感があふれ、涙はなかった。

17年の女王で昨年の賞金ランキングも3位。プロ入り後、鈴木は用具契約を結ぶPINGの本部がある米国アリゾナ州で合宿を張っている。ここでは、基礎はもちろん、実践的な練習をするのが日課だ。あらゆる場面を想定し、より効果的な練習を積んでいるといっていい。そんな状態で乗り込むからこそ、自信がみなぎる。

シーズンの幕開けとともに、オフの過ごし方がクローズアップされるようになったのはそう昔ではない。そもそもゴルフはスポーツなのかといわれることさえあるのが実態だ。ところが、今では年間39試合。3月2週目から11月最終週まで毎週試合が続くのが女子ツアー。体力だけでなく強靱な精神力、そしてブレない技術がなければ生き残っていけない。昨年からは、シーズン中に出場優先順位を見直すリランキング制度も始まり、より競争が激しくなった。

PRGR最終日。前半を終えて、勝負どころの後半に入った瞬間から、海から吹き付ける強烈な風との戦いに直面した選手達。首位を争うライバル達はスコアを落とし、最終的には4打差をつけての圧勝。誰も鈴木を脅かすことはできなかった。どんな場面においても、誰よりも練習してきたという自信を持ち続け、揺るぎない技術と気持ちで戦い、磨いてきた応用力を遺憾なく発揮した。

鈴木といえば、最後のひとりになるまでコースを去ることなくパッティング練習に明け暮れ、パット女王の異名まで取るようになった。昨年からは体のケアに費やす時間が増え、最後のひとりとなることは少なくなってきたが、それでも手を抜くことなど一切ない。

鈴木の取材をはじめてから6年が過ぎた。彼女が衝撃の初優勝を果たす前から練習場にこもり球を打ち、練習グリーンで球を転がし続ける姿を見ていた筆者は、今の状態は必然だと思える。取材を終えて原稿を書き終わってコースを出ようとしたときに、まだ練習をしている。いつしか、そんな鈴木の姿を見ようと、彼女の練習が終わるのを毎日見届けてから帰るのが日課になった。

遅くまで練習をすればいいというものではないのはわかっているが、そこが気になってしまうのも事実。今大会では、若手たちが、練習日から本戦まで練習グリーンで球を転がし続けていた。注目の黄金世代では上位争いを見せた渋野日向子や原英莉花、大里桃子、高橋彩華といったメンバーがひたすら打ち続けていた。ほかにも、風が吹き付ける暗闇迫る中、熊谷かほ、脇元華、大出瑞月といった若手が黙々とカップ周りで練習をしていた。ほかの選手もしかりだろう。

鈴木愛という選手をつくり上げたのは「練習量」「努力」「勝ちたい気持ち」。徹底的に基礎を磨いてどんな場面にも対応できる状態をつくり上げて開幕。その上で応用力も発揮する。若手が増える女子ツアーは一見華やかだが、いつふるい落とされるかわからない厳しい場。鈴木がつくってきた手本となるようなプロ魂。新たに、努力と根性ではい上がってくる選手に注目していきたいと思う。(文・高桑均)

(撮影:村上航)<ゴルフ情報ALBA.Net>

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