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花粉症に効果「舌下免疫療法」 成功した人、失敗した人

3/19(火) 11:00配信

デイリースポーツ

 花粉症で悩んでいる人は、「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」という治療法のことを耳にしたことがあるかもしれません。じつは、舌下免疫療法には「向いている人と向いていない人」がいるそうです。たくさんの花粉症患者が診察に訪れる大阪の太融寺町谷口医院の院長、谷口恭先生に話を聞きました。

■効果があれば人生が変わる舌下免疫療法

 -舌下免疫療法とは、どんな治療法なのでしょうか。

 「花粉症の人の場合、身体がスギ花粉を“敵”とみなしているので、花粉を鼻や口から吸ったり、眼に付いたりすると、“敵”をやっつけようと免疫系の細胞がいっせいに身体を攻撃し、鼻や眼に炎症が起こります。炎症によって、くしゃみや鼻水、眼のかゆみといった症状が現れるのですが、免疫療法では、炎症が起こらない程度の量の“敵(抗原)”を体内に取り込み、次第に“敵”と認識しなくなるようにする治療法です」

 -舌下免疫療法の薬『シダトレンとシダキュア』は、どう違うのでしょうか。

 「現在、シダトレンといって液体の薬を舌の下に2分間含んでから飲み込む薬とシダキュアといって、錠剤を舌の下に1分間含んでから飲み込む薬が発売されています。シダキュアのほうが抗原の量が多く、高い効果が期待できるのですが、新しい薬なので2019年の5月か6月までは2週間分しか処方することができません。シダトレンは冷蔵庫で保管しなければなりませんが、長期処方できるので、現時点ではたびたび通院できない人に向いています」

■舌下免疫療法には、向いている人と向いていない人がいる

 -治療は何年もかかるのでしょうか。続けられるかどうか心配な人もいると思うのですが。

 「舌下免疫療法は、少しずつ身体に免役をつけていくので、治療を開始したら3~5年続けなければ効果を期待できません。途中でやめたら、元の身体に戻ってしまうので(1)規則正しい生活ができる人(2)毎日1回薬を飲むことができる人(3)使いはじめて間もなく起こる口腔内のかゆみなどの副作用について理解できる人、に向いています。逆に、タクシードライバーのように時差勤務の人、夜勤のある人、規則正しい生活ができない人、毎日薬を飲み続けられない人にはおすすめできません」

■治療を開始したら意外と続けられる

 -途中でやめてしまう人も多いのでは。

 「3年以上毎日薬を飲み続けないといけないと言うといかにも大変そうですが、意外と脱落する人は少ないのですよ。当院の患者さんは、続けられている人が多いです。40代男性・会社員のAさんは、スギ花粉が飛散するシーズンになると、毎年、鼻づまりや鼻水、眼のかゆみに加え、微熱や倦怠感に悩んでいました。2015年からシダトレンによる治療を始めたのですが、2018年までの3年間は、あまり効果を感じませんでした。ところが、2019年は花粉の飛散量が非常に多いと聞いていたのに、ほとんど症状が出ていません。Aさんは『舌下免疫療法が確実に効いている』と実感しているそうです」

 -治療が合わない人もいるのではないでしょうか

 「どうしても舌下免疫療法が合わない人もいます。30代男性・自営業のBさんは、数年かかってもスギ花粉症を治したいと思い、思い切って舌下免疫療法をはじめました。使い始めの頃に出る目のかゆみやのどの不快感がありましたが、それらの症状を抑える薬を使えば、特に生活に不便は感じていませんでした。ところが、シダトレンを1カ月ほど使った頃から目の周りがかゆくなり、次第に悪化していったのです。もともとアトピー性皮膚炎があるため、ステロイド軟膏などを使って治療しましたがうまくいきませんでした。シダトレンをやめると3日ほどでかゆみがなくなったのですが、舌下免疫療法はやめざるを得ませんでした」

(続けて)

 「残念ながら、舌下免疫療法が体質に合わない人もいますが、軽症であっても毎年春になると『症状が出てつらい』と思う人は、舌下免疫療法を数年続けてQOL(生活の質)を上げることを考えてもいいでしょう。治療を開始する前に、舌下免疫療法の効果と副作用についてよく理解しておくことも、治療を長続きさせる秘訣です」(神戸新聞特約記者・渡辺陽)

◆渡辺陽(わたなべ・よう)大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。フェイスブック(https://www.facebook.com/writer.youwatanabe)

《本当に花粉症なのかどうかセルフチェックしてみよう》

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000077514.pdf(2ページ目の図表)

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